「残高なんてないはず…」亡母の通帳に残された裏切りの爪痕

誰でも一度は経験するであろう相続。しかし、「争続」の言葉が表すように、相続に関連したトラブルは尽きない。なかには、生前の対策によっては避けられたであろうトラブルも多く、相続を見越した行動が求められる。本記事では、法律事務所に寄せられた相続事例を紹介する。

揉め事もなく、遺産分割はすんなりと終わったが…

【亡くなられた方】母親
【相続人】長男、長女
【財産(遺産)】現在居住の家とその土地、自己の親の家とその土地(現在空き家)、預貯金、生命保険

 

<相談内容>

 

母が死去しました。私には妹がいますが、法定相続分とおりに、残されたわずかな遺産を分割して、特に揉め事もなく、遺産分割はすんなりと終わりました。

 

しかし、遺産分割が終わったあとに見つかった母の通帳が問題の発端でした。「残高なんてほとんどないだろう」と思いながら通帳の中身を見ると、母が生前、大きなお金を妹へ振り込んでいる形跡があったのです。

 

私に事情も話さずに振り込むような額でもなく、非常に不公平感を覚え、なぜ母は生前に伝えてくれなかったのかと怒りさえ湧きました。

 

なにより、この多額なお金を受け取ったはずの妹が、遺産分割の際に黙っていたことが許せません。何かできることはないのでしょうか。

 

「残高なんてほとんどないだろう」と思ったら…
「残高なんてほとんどないだろう」と思ったら…

定期的に長女へ振り込まれていた「多額のお金」

<解決方法>

 

まず当職らは、弁護士会照会により、母親が口座を持っていたと思われる銀行に対して、異動明細10年分の提出を求めました。届いた明細を確認したところ、確かに、多額のお金が定期的に長女へ振り込まれていました。

 

また、少額の振込みが定期的にあったこともわかりました。その振り込まれた時期を確認すると、長女が家を購入した時期、車を購入した時期、等々と重なったのです。

 

これらは、特別受益(特定の相続人が被相続人から受けた生前贈与などの特別な利益)であると確信し、長女に対して、遺留分減殺請求をしました。

 

すると、長女も弁護士に依頼し、依頼を受けた弁護士から話し合いの連絡がきました。

 

当職らは、わかりうる範囲ですべての資金の異動を特別受益であると主張しました。しかし相手は、一定程度の特別受益は認めたものの、少額しか認めませんでした。

 

当職らは、調停訴訟をも視野に入れて、相手方弁護士と粘り強く交渉しました。

 

その結果、依頼者の当初の希望にかなり近い額での合意が成立し、数百万円を受け取ることができたのです。

 

弁護士法人 あい湖法律事務所 弁護士

滋賀県生まれ、関西大学総合情報学部卒業後、パチプロをしてたことで、パチンコメーカーに就職し、新商品の企画開発に5年間携わる。
勤務中、土地家屋調査士の資格を取得し、独立を目指し司法書士の勉強を始め、退社後、合格。司法書士業務をするも、より質の高い法的サービスを提供したいとの思いから、弁護士を志す。
司法試験合格後、大阪で研修を経て、あい湖法律事務所を開業。2019年11月、現在、法人化し、東京都千代田区、大阪府高槻市、滋賀県大津市、の3拠点、弁護士10名が所属する法律事務所となる。
一般企業での会社員経験と定期的に国内外の優良企業を視察して得られた知識経験を生かしたコンサルタント色のある提案が多くの企業に喜ばれて、多数の企業を顧問に持つ。

弁護士法人 あい湖法律事務所:https://aiko-lawoffice.jp

著者紹介

連載相続問題に強い弁護士が伝授!「遺言・相続」解決術

本連載は、「弁護士法人 あい湖法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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