ポイント
新型肺炎の拡大に対する懸念が世界の株式市場を翻弄しています。こうした市場全体の動きから、アジア(除く日本)株式などの新興国株式もマイナスの影響を受けています。2002年のSARS発生時にも、同様に株式市場はマイナスの影響を受けましたが、その後は終息宣言をまたずして回復基調を辿りました。今回も情勢を注視していく必要があるとみていますが、市場の調整は中長期的には投資の好機となる可能性もあると考えています。
新型肺炎の拡大を受けて世界の株式市場は変動
中国武漢市で発生した新型コロナウイルスに関連した肺炎患者数は拡大を続けています。患者は中国全土から、日本をはじめとしたアジア周辺国、アメリカ、フランスなど世界各地に広がっています。
中国国内での感染が拡大する中、中国政府は春節(旧正月)の連休の延長を決定すると共に、国内に続き国外への団体旅行を禁止すると通達しました。中国国内の団体旅行は禁止されていましたが、新型コロナウイルスによる肺炎の拡散を防ぐため、移動制限措置を拡大させました。
こうした状況は特に中国経済の停滞につながる可能性もあるほか、サプライチェーンを通じて周辺アジア諸国から、世界経済にもマイナスの影響を与える可能性もあります。また、渡航自粛・制限などによる中国からの観光客減少によって、中国人の渡航先(例えば、香港やタイなど)の地域経済はマイナスの影響を受ける可能性があります。
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SARS発生時にアジア株式市場で何が起きたか?
2002年に中国で発生し、世界約30ヵ国へと拡大したコロナウイルスの一種であるSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行期にも、同様な懸念が発生し、世界の株式市場にマイナスの影響を及ぼしました。ただし、その後は、相対的に高い経済成長期待などを背景に、世界保健機構(WHO)の終息宣言(2003年7月)や各国の渡航禁止令解除等を待たずして、感染者数の増加が緩やかとなってから1~2ヵ月程度後には株式市場は回復基調となりました。
引き続き、今後の情勢については注意深くみていく必要がありますが、アジア(除く日本)株式のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き良好であることを考慮すると、市場全体の調整は、中長期的な投資の好機となる可能性もあると考えられます。
当面は情勢を注視する必要
そうはいっても、当面はアジア(除く日本)株式は、新興国株式の中でも特にマイナスの影響を免れることは難しいでしょう。特に、消費関連、旅行関連企業の株価は相対的にマイナスの影響を大きく受けることが懸念されます。一方で、ヘルスケア関連や公益やエネルギーなどの企業の株式については、相対的に底堅い株価推移が期待できると考えます。
いずれにしても、新型肺炎の新たな感染者数の増加ペースが落ち着くことが待たれます。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。
※データは過去の実績であり、将来の当ファンドの運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型肺炎の感染拡大、新興国の中でもアジア(除く日本)株式への影響は?』を参照)。
(2020年1月30日)
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