新型コロナウイルスについての見方

グローバル/バイオ医薬品

ピクテ投信投資顧問株式会社
新型コロナウイルスについての見方

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社マーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

 

中国・武漢で新型コロナウイルスが発生、世界に感染が拡大しており、世界の注目を集めています。今回の新型コロナウイルスについては、病気の全容が明らかになっていないことから、経済への影響を推測するのは難しい状況ですが、現時点ではSARSよりも長期化する可能性を念頭においておきたいと考えます。

中国・武漢で新型コロナウイルス発生

新型のコロナウイルスが、中国の人々が生鮮食品や肉を手頃な値段で調達することができる生鮮市場から発生しました。このような生鮮市場では、野生動物や珍しい動物は、畜産された動物よりも珍味で、健康に良いと考えられており、(一部は違法ですが)珍しい動物が取引されています。

 

新型のコロナウイルスは、以前、コウモリから発見されたコロナウイルスと非常に似通っており、そのためコウモリがこのウイルスの自然宿主である可能性があります。

 

今回のコロナウイルスが、生鮮市場でコウモリからヒトに直接、感染したのか、ほかの宿主を経由して感染したのかについては、現時点でははっきりしていません。(2012年のMERS(中東呼吸器症候群)では、ラクダからヒトに感染したとみられますが、コウモリも自然宿主とみられます。)

 

今回のコロナウイルスのDNAの75%はSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じです。SARSは大流行から終息までの6ヵ月間で感染者が8,000名超、死者が916名にのぼり、2003年に世界的なパニックを巻き起こしました。

 

しかし新型のコロナウイルスには、SARSやMERSとは幾分、違った特徴があります。

潜伏期間

中国国家衛生健康委員会によると、(感染しても症状が現れない)潜伏期間は10~14日間とされています(潜伏期間については、平均5.2日間や10日前後など諸説あります)。潜伏期間が長いことで、新型コロナウイルスに感染している人が感染に気付かず、潜伏期間中にウイルスを拡散してしまう可能性があります。この点はSARSやMERSと異なる点です。

死亡率と感染率

病気の重症度はコインの裏表のようなものです。

 

死亡率が50%前後のエボラ出血熱のようにはっきりと症状が現れ重症化する病気では、病状が重く、隔離されることから通常は抑え込むことが容易です。また死亡率が10%程度のSARSは、熱の症状により比較的感染者を発見しやすく、隔離できることから、6ヵ月程度で効果的に抑制することができました。

 

一方、今回の新型コロナウイルスは、現時点では死亡率は3%程度とされています。患者数の総数が明確でないこと、病院内感染患者は他の持病との合併症で亡くなるケースが多いことなどから、実際の数値はもう少し低く、インフルエンザと同程度の1%を下回る水準である可能性があります。

 

なおインフルエンザは、ワクチンやタミフルといった治療薬がある中でも、毎年、世界で50万人程度が死亡しているとされています。

 

新型コロナウイルスの感染率については、現時点ではインフルエンザやSARSと同程度とみられます。この率は今後、ウイルスが変異することで変化する可能性があります。

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

 

どの様な対策が有効か

もし新型コロナウイルスがインフルエンザのように死亡率が低い一方、感染力が強い場合には、これを抑えることは難しいでしょう。

 

効果的なワクチンが開発されるまでは、ウイルスの感染が繰り返される可能性があります。最終的には、既往症や免疫システムが弱いなどインフルエンザによる死亡リスクの高い人々にとって危険な病気になるでしょう。

 

対策としては、石鹸や温かい水での手洗いや手の消毒など、個人の衛生意識がとても重要です。さらに病院や商業施設では消毒薬製品などを使用し、衛生状況を良好に保つことが大事です。

 

消毒薬製品や石鹸などのパーソナル用品などを製造する企業の業績への影響が注目される可能性があります。

治療薬やワクチン

ワクチンの承認については、新型コロナウイルスの拡散状況に左右されそうです。

 

複数の大手医薬品企業やバイオ医薬品企業は現在、全力で開発を進めていますが、治療薬の開発には義務とされている治験などの実施が必要となります。

 

SARSのような過去の感染拡大では、病気自体が早急に抑制されたことから、医薬品企業はヒトでの効果の十分な検証を行うことができませんでした。

 

これまでの経験に鑑みると、効果があり安全な治療薬の開発には1年以上かかり、ワクチンは1年以内に完成する可能性は低く、おそらく2年程度を要すると見られます。

 

早急にできるものとしては、患者を隔離できる体制を整えるためにも、簡単に、早く、信頼性の高い診断ができ、普通の風邪やインフルエンザなどの季節性の病気との区別をつけることのできる簡易な診断キットなどの開発が求められています。

 

今回の新型コロナウイルスについては、まだ感染拡大して日が浅く病気の全容が明らかになっていないことから、経済への影響を推測するのは難しい状況です。ただし、現時点ではSARSよりも長期化する可能性を念頭においておきたいと考えます。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。

 

※記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、医薬品についてもあくまで参考として紹介したものであり、その医薬品を推奨するものではありません。また、データは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナウイルスについての見方』を参照)。

 

 

(2020年1月30日)

 

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【3/27開催】遺言はどう書く?どう読む?
弁護士が解説する「遺言」セミナー<実務編>

 

【3/27開催】いま「日本の不動産」が世界から注目される理由
~海外投資家は何に価値を見出すのか

 

【3/27開催】「マイクロ法人」超活用術
~法人だからできる節税とは~

 

【3/28開催】「相続手続き」完全マスター講座
~相続人調査、財産調査、遺産分割協議~

 

【3/30開催】次世代のオルタナティブ投資
「プライベートクレジット投資」とは

 

あなたにオススメのセミナー

    【ご注意】
    ●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
    ●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
    ●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
    ●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
    ●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
    ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
    ●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
    ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
    ●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ