●年前半は上昇基調が続く見通し、日経平均は3月末で24,400円、6月末で24,800円を予想。
●米大統領選挙前はリスクが取りにくく、日経平均はいったん調整へ、9月末は24,200円を見込む。
●12月末は24,500円へ、米中協議の進展や日本企業の業績回復の度合い次第では上振れも。
年前半は上昇基調が続く見通し、日経平均は3月末で24,400円、6月末で24,800円を予想
2020年の日本株は、年前半に上昇、年央にいったん調整、年後半に再び上昇する展開を見込んでいます。懸案の米中貿易摩擦問題は、2019年12月13日に米中両国が第1段階の合意に達しました。合意文書への署名や、第2段階の交渉開始など、引き続き今後の進展を見守る必要はありますが、米中の緊張が緩和に向かい始めたことで業績回復期待が高まり、日本株は年明け以降、慎重ながらも上値を試す動きが予想されます。
弊社は日経平均株価について、2020年1-3月期の予想レンジを22,200円~25,200円、3月末の着地を24,400円に設定しています(図表)。日経平均株価はこの時期に、2018年10月2日につけた終値ベースでのバブル崩壊後最高値、24,270円62銭を更新する可能性が高いとみています。また、2020年4-6月期の予想レンジは22,600円~25,500円、6月末の着地は24,800円で、上昇基調が続くと考えています。
米大統領選挙前はリスクが取りにくく、日経平均はいったん調整へ、9月末は24,200円を見込む
なお、弊社の企業調査第一部は、主要企業227社(金融を除く)をコアリサーチユニバースとし、業績見通しをまとめています。2019年12月6日時点で、売上高、経常利益、当期純利益の見通しは、2019年度が順に前年度比+0.9%、同-4.6%、同-11.7%、2020年度は同+1.6%、同+6.1%、同+7.6%です。2020年度は、2019年度の増収減益から増収増益に転じる見込みです。
国内では、3月期決算企業の2020年度の業績予想が、2020年4月下旬から5月上旬にかけて公表されます。期待に添った内容であれば、株価の下支えになると思われます。また、東京オリンピック・パラリンピックが終了する頃には、民主・共和両党の米大統領候補が決まります。米大統領選挙前はややリスクが取りにくく、株価調整の時間帯を想定し、2020年7-9月期の予想レンジは22,200円~25,200円、9月末の着地は24,200円としています。
12月末は24,500円へ、米中協議の進展や日本企業の業績回復の度合い次第では上振れも
2020年10月下旬から11月上旬にかけては、国内企業の中間決算が発表されます。業績予想の上方修正が目立つようであれば、改めて日本株に見直し買いが入ることも考えられます。一方、米国では11月3日に米大統領選挙が行われます。新しい米大統領が決まり、選挙に絡む不透明感が払拭される展開となれば、日本株のみならず、リスク資産全般にとって追い風になります。
2020年10-12月期の予想レンジは22,200円~25,200円、12月末の着地は24,500円です。6月末の水準には届かない見通しですが、米中貿易協議の進展や日本企業の業績回復の度合い次第で、上振れ余地は拡大すると思われます。なお、2020年も、突発的な悪材料には注意が必要です。ただ、2019年5月以降、主要17カ国・地域が金融緩和に踏み切っており、世界の金融環境は極めて緩和的です。2020年はこの環境が株価の下値リスクをある程度、抑制するとみています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年「日経平均株価」の見通し…6月末で24,800円を予想』を参照)。
(2019年12月19日)
市川雅浩
三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト