会社で発生した突然のトラブル…人は危機的状況でどう動くか?

性格や考え方が異なる人が集まる企業やチーム。これらをまとめなければいけないリーダーの苦労は図りきれません。そこで本連載では、組織マネジメントを行う際に利用できる、心理学の基礎知識を紹介していきます。本記事では、危機的状況に直面した際に現れる、3つの行動パターンについて解説していきます。

大きな葛藤を抱えたときの、3つの行動パターン

ビジネスにおいてトラブルにどう対処するのかは重要です。ただ、危機的な状況で切羽詰まるといつもとは違う別の顔が出てくるケースもあります。そこで簡単な対人関係のパターンの分類と危機的な状況で現れるタイプ別本性の対処法を紹介しましょう。

 

危機を前に、人は本性が出る
危機を前に、人は本性が出る

 

追い込まれた時ほど、人は本性を現すといった話はよく聞きます。確かに余裕がなくなったときに、他人への対応が変わる人もいて、そういった人を全面的に信じるのは、少し難しいと感じることもあります。

 

では、人は切羽詰まったときに、どんな対応をするのでしょうか? ドイツの精神分析家カレン・ホーナイのパーソナリティー分類から、人の危機への対処方法を紹介していきましょう。

 

人は環境に適応する必要から「理想化した自分」を作り上げると、ホーライは考えました。その「理想化した自分」は、「追従型」「攻撃型」「孤立型」の3つに分類され、大きな葛藤を抱えたときに対人関係の対応の基本的なパターンとして表れてくるというというのです。

 

この心理的葛藤に対する対処法の分類は、個人の特性を9つのタイプ分類するエニアグラムにも活用されています。

 

たった3つの分類ですが、わかりやすいこともあり、危機に際して人がどんな心理を抱き、行動するのかを理解するのに役立ちます。ビジネス上のトラブルでも活用できますので、ぜひ覚えていってください。

 

①追従型

他人に受け入れられることを優先するタイプです。他人との共通点があるかどうかを非常に気にします。問題が起きた時には、自分を責める傾向にあります。また自分が相手にした行動が評価されないと自己評価が大きく下がってしまいます。そして相手の関心を取り戻すために、他から見るとバカらしいほどの努力をしたりするのです。

 

このタイプは、愛に対する大きな期待があり、優先順位の上位に位置付けます。

 

自身は思慮深く、思いやりのある、寛大な自分だと考えていますが、相手の感情に敏感に反応し過ぎて、自分の感情に鈍感になってしまうケースが多いのです。

 

責任感は強く、相手の期待にどこまで応えられるのかを優先的に考えるので、危機的な状況でもすべてを放り出すことはしませんが、現実な対応が得意というわけではありません。また精神的にも強いタイプではありません。

 

②攻撃型

社会は弱肉強食だと思っており、他人に主張し、支配することで要求を通そうとします。危機的な状況になる前は温和な性格のように見えていても、相手に勝つことに全力を注ぐタイプで、他人の悪意には敏感に反応します。

 

ただ他人を戦略の道具と思うタイプのため、対人戦略や合理的思考にも優れているので、危機対応では強みを発揮します。ただし救いたいのは自分だけ、得たいのは勝利なので、仲間だからといって安心できるわけではありません。

 

合理的な思考が過ぎて、自らの人生を楽しむといったことは苦手な傾向にあります。

 

③孤立型

自由を何よりも愛し、他人との関わりを避ける傾向にあります。自分の心に土足で踏み入れられることを何よりも嫌うので、本心も個人情報もベールに包まれ、プライバシーを保つことに力を使います。

 

感情を抑制する傾向にあり、その延長として個人の欲求まで抑え込んでしまうこともしばしばです。また感情を抑制することで理論的な判断を優先する傾向も強くあります。

 

危機的な状況においては、まず人から遠ざかることを選択するため、必ずしも役立つタイプではないでしょう。なおかつ対人関係で距離を詰められるとパニック的な反応を起こすことがあるので、対人関係のトラブルでは役に立つことはなそうです。

3つのパターンからリスクヘッジを考える

この3つのパターンは、どれかが強く表に出ていても、通常3つが絡まりあっているものです。つまり追従型だけれど、孤立型の気持ちを抱えていることもあるのです。

 

ビジネスでのトラブルは、どんなに注意していても起こってしまうものです。そのとき同僚や上司がどのような態度を示すのかをあらかじめ知っておくことは、リスクヘッジの観点からは重要なのではないでしょうか。

 

たとえば攻撃型の上司であれば、リスクを抱えたプロジェクトを推奨するものの、問題が起きれば、救いたいのは自分だけというタイプなのでさっさと逃げ出してしまうかもしれません。リスク管理をこのタイプの上司にゆだねていると、大変なことになると肝に銘じておくほうが良いかもしれません。

 

あるいは追従型の上司の場合は、評価ポイントが自分への心配りだったりするかもしれません。仲間だと感じていれば、切り捨てることはありませんが、危機への対処が情緒に走りすぎていないかをチェックすることは重要です。ビジネスの現場では、その優しさがもろ刃の剣となるかもしれません。

 

孤立型の上司の場合は、危機的な現場に立ち会っていても、感情的な交流は許されません。そうした態度はときに不誠実に映り、状況がより悪化してしまう可能性があります。このタイプの上司の強みは、論理的な判断ができること。経済的な損失を最小限に食い止める対策といったところは得意かもしれません。

 

いずれにしてもトラブルへの最終的な対処は、自分でやらなければといった覚悟は決めておいたほうがいいでしょう。結局。トラブルは気持ちの問題となってくるので、この手の上司には手に余ることが出てきそうです。

 

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著者紹介

連載組織運営に使える!リーダーのための心理学

参考:『毎日使える、必ず役立つ心理学』(サラ・トムリー 著/河出書房新社」)

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