ピクテが提案する環境保護へのアプローチ

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

地球上の天然資源を守る投資を行うためには、企業の「エコロジカル・フットプリント」への取組みを十分に理解する必要があります。ピクテの環境への投資戦略が、この取組みへのモデルとなります。

 

※「エコロジカル・フットプリント」とは、地球上で消費される天然資源の量を分析、評価する手法のひとつで、人間一人ひとりが持続可能な生活を送るのに必要となる、生産可能な土地・水面を面積として表したものです。例えば、化石燃料の消費によって発生する二酸化炭素を吸収するために必要な森林面積や、食料の生産に必要な土地面積などがあげられます。具体的には、アメリカ人一人が必要とする生産可能な土地面積は5.1ヘクタール(ha)、日本2.3ha、インド0.4ha、世界平均1.8haとなっていて、先進国の資源の過剰消費の実態を示しています。

 

 

かつてはニッチ、すなわち大企業が相手にしないような小さな市場であった環境関連への投資は、今や確固たる主要産業となっています。しかしながら、投資家が直面する問題は、企業のエコロジカル・フットプリントを評価する世界的な基準が無いということです。現在実施されている環境面に対する評価の多くは、主観的過ぎるか、もしくは狭い視野に基づくかのどちらかになっています。例えば、個別の企業がどれくらい二酸化炭素を排出しているかを測定しても、産業や社会全体の姿については明確には示していません。

 

このような状況に対応するため、ピクテは環境関連の投資戦略としてグローバル・エンバイロメンタル・オポチュニティーズ(GEO)戦略を開発してきました。この戦略では、科学的かつルールに基づいた枠組みによって、グローバル経済を形成する100社以上の企業のエコロジカル・フットプリントを計測するプロセスを確立しています。

 

世界的に認められた二つの分析手法、「地球の限界(PB)モデル」と「ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)」によって、世界で最も持続可能な産業を確認するレンズのような仕組みを作ります。

 

PBおよびLCAは、ピクテのGEO戦略の入り口の段階であり、詳細について以下で説明します。ひとたび、この評価手法が完結したら、ピクテの投資担当者は個別企業の分析を行い、環境面の破壊を防ぐ製品やサービスを提供する企業を発掘していきます。

エコロジカル・フットプリントの計測方法

 

1)ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)とは、グローバル経済を構成する各産業の廃棄物排出量および資源の利用法を計測するために確立されたモデルです。LCAは、財の生産あるいはサービスの提供に関連するあらゆる活動、即ち、資源の採取、製造工程、流通および運輸、製品の使用、廃棄およびリサイクルを分析します。

 

「地球限界(PB)モデル」は、人間の活動が行われるべき生態学的に「安全な操業空間」を定義する分析的枠組みであり、9つの最も有害な人工の環境現象の限界値を設定するものです。当該モデルは、抵触した場合、地球の生態系を危険にさらすことが予想される一連の限界値を設定します。例えば、世界の二酸化炭素の排出量の適正水準を維持するためには、大気中の二酸化炭素の比率を百万分の350以下に抑える必要があります。

 

2) LCAとPBを統合することで、産業の生み出す廃棄物を計測するレンズのような仕組みを作り、産業の影響を計測することが可能です。

 

3)PBモデルから抽出されたデータを用いることで、経済を構成する各産業の環境精査を行うこと、即ち、LCAの定義に則って製造連鎖のすべての側面を精査することが可能です。精査の目的は、産業の資源の利用および廃棄物の創出が、PBの持続性のための限界値を上回っているか、または下回っているかを判断することです。

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント
[図表1]ライフ・サイクル・アセスメント(PCA)と地球の限界(PB)モデル 出所:ピクテ・アセット・マネジメント

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント
[図表2]産業の影響を計測 出所:ピクテ・アセット・マネジメント

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント
[図表3]各産業の環境精査 出所:ピクテ・アセット・マネジメント

ケーススタディ:個別産業のエコロジカル・フットプリントの測定

ファッション産業

 

 

PBモデルは、世界の真水の供給が持続可能かどうかを算出します。人類の消費できる真水は、年間5千~6千立方キロメータ以内とすべきです。

 

この数値をLCAに用いると、全ての産業において、ひとつの産業が使用できる真水の量は、年間百万米ドルの収入に対して81千立方メートルが限界値となります。

 

LCAとPBモデルによると、ファッション産業は年間百万米ドルの収入に対して、361千立方メートルの真水を使用していて、PBモデルが持続可能と判断する限界値の4倍以上の消費量となっています。

 

もし二酸化炭素を例とすると、事態はより憂慮すべき状況となります。LCAとPBモデルによると、持続可能とみなされるどんな産業においても、年間百万米ドルの収入に対する二酸化炭素の排出量は、188.5トン以内とすべきです。ところが、ファッション産業の二酸化炭素の排出量は、この限界値の9倍に達しています。
 

[図表4]ファッション産業

 

運送業

 

LCAとPBモデルによると、運送業は年間百万米ドルの収入に対して2千トンの二酸化炭素を排出していて、これはモデルが算出する限界値の10倍に達しています。

 

しかしながら、オゾン層を破壊する物質の排出量については、運送業は持続可能な限界値の範囲内となっています。

 

ピクテの分析では、運送業は年間100万米ドルの収入に対して、1.75kgのクロロフルオロカーボン(CFC-11、フロンガス)を排出しています。これは、LCAとPBモデルの限界値である2.48kgを下回ります。

 

[図表5]運送業

ピクテのグローバル・エンバイロメンタル・オポチュニティーズ(GEO)戦略


この戦略では、地球の天然資源を守ることに貢献している企業の株式に投資します。 


投資対象のユニバースは、環境関連に責任を持つ世界の3,500社以上の上場企業であり、ピクテのESG(環境、社会および企業統治)投資の基準に合った会社です。


この戦略におけるポートフォリオは、50~60銘柄に絞ります。構成銘柄は、公害の管理、真水の供給、再生可能エネルギー、廃棄物処理ならびに持続可能な農業を行う企業が含まれます。


ポートフォリオのリスクとリターンは、成長株投資と同程度の水準とします。このファンドは、グローバルなポートフォリオの中の、株式部分として組入れることが可能です。

 

投資信託や投資一任契約は手数料やリスクを伴います。詳しくはこちらをご参照ください。

 

https://www.pictet.co.jp/company/utility/risk_cost

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ピクテが提案する環境保護へのアプローチ 』を参照)。

 

 

(2019年9月11日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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