デジタル社会への長い道のり

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

グローバルなデジタル社会への移行には、まだ長い期間が必要になると見ています。この移行の過程において、多くの投資機会があると考えます。

 

2013年当時、グーグル社のエリック・シュミット会長は、2020年までに地球上の全ての人がインターネットにアクセスできると予言しました。もう2020年の期限まで1年を切っている現状、インターネットに関するシュミット会長の予言は遠く及ばず、世界の人口の57%しかアクセスできていません※1

 

※1. Hootsuite, We are Social, “Digital2019”, January 2019

 

この事実は、今後のインターネットの普及率が上昇するにつれて、大きな成長が見込め、魅力的な投資機会が多く存在すると考えます。

 

例えば、消費を例として取り上げましょう。昨年、世界全体の消費額は24兆米ドルでしたが、ネットを通じた消費はたった12%でした※2。今後5年間で、ネットを通じた消費は2倍になると予想されています。そしてオンラインの決済も急増すると見ています。現在、オンラインの決済システムである「ペイパル」による決済は、世界全体の3.1%にしかすぎません※3

 

※2. eMarketer, “Global ecommerce 2019”, May 2019

※3. UBS, Digital Commerce 360, PayPal company reports

 

消費に対する習慣が変わっていくことによって、オンラインで購入することが可能な商品が大きく拡大することになります。一方販売する側としては、在庫を確認しつつ消費者の情報を集めることによって、より効率的なマーケティング手法を構築していくことができます。

 

また、オンラインによる消費や商品の検索のデータを蓄積することは、デジタル・マーケティングのさらなる発展につながります。インターネット上のバナー広告(画像やアニメーション)が導入されて4半世紀がたちましたが、現在全世界の広告宣伝費の約半分が、ネット上の広告となっています※4(図表1参照)。

 

※4. eMarketer, “Digit al ad spending 2019”, March 2019


 

緑線:ネット広告金額(10億米ドル、左軸)、赤線:ネット広告伸び率(%、右軸) 出所:ピクテ・アセット・マネジメント
[図表1]世界のネット広告の伸び予想 緑線:ネット広告金額(10億米ドル、左軸)
赤線:ネット広告伸び率(%、右軸)
出所:ピクテ・アセット・マネジメント

新しいビジネス・チャンス

デジタル化が進む過程において、従来の産業において新しい企業が台頭してきています。これは、デジタル化の費用が低下していることと、大企業はとかく制度改革などに対して消極的な姿勢であるからです。

 

 

例えば金融の世界において、フィンテック(金融テクノロジー)関連のベンチャー・キャピタルのわずか10%程度しか、銀行からの投資を受けていません※5。この分野は、技術革新によって特に将来性のある分野です。例えば、携帯電話やデジタルによる決済や、コンピューター同士による資金の貸借、ならびにブロックチェーン(分散管理台帳)の技術の高まりなどです。フェイスブック社が計画している仮想通貨である「リブラ」は、実体経済における資産のバスケットに裏付けられる見通しであり、特に注目に値すると見ています。デジタル上の金融市場は巨大な規模となる見通しです。現在、地球上の17億人もの人々が、従来の金融機関へのアクセスが出来ないことによって、現在の金融システムを利用できていないからです※6

 

※5. Accenture, “Fintech’sgoldenage”, June 2016, statistics based on 2015 data

※6. World Bank, Global Findex Database, 2017

 

銀行は、双方向ならびに従来とは異なるソフトウェアへの投資を、他の産業を上回るペースで実施しています。しかしながら、自分たちのビジネスをデジタルを武器とした新規参入者から守るために、一層ペースを上げる必要があります。

 

 

一方ヘルスケアの世界においても、デジタルによる業務開発のペースが上がってきています。業界としての、情報技術への投資比率は、収入の3.5%程度となっています。明らかに、ソフト関連への投資は非常に小さい比率となっています。患者の情報を集約することによって、より正確かつタイムリーな診断が行われるように、現在の状況が変わっていくことを期待しています※7

 

※7. Deloitte Insights, “Technology budgets:from value preservation to valuecreation”, March 2018

 

このような状況は、金融とヘルスケアに限られた話ではありません。クラウド・コンピューティング(ネットワークを通じてソフトウェアやデータを使用すること)の利用によって、あらゆる産業が柔軟的なコンピューター・システムやコスト削減を達成することが出来ることから、今後企業は情報技術への支出を10倍にも増やしていく可能性があります(図表2参照)。

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント
[図表2]情報技術投資先の比率(%) 出所:ピクテ・アセット・マネジメント

Zファクター

テクノロジーに精通した若い世代は、金融面でも政治的な側面でも成長し、より力を持つ存在となって、デジタル革命をさらに推し進めていきます。1995年から2010年の間に生まれた人は「Z世代」と呼ばれ、「真の生まれつきのデジタル人間」と称されています。この世代のほとんどの人がスマートフォンを持ち、1日のうち多くの時間、すなわち10時間程度は当たり前に、インターネットなどを利用しています※8

 

※8. Global Web Index, Q2 2017; Wikia, “GenZ:the limitless generation”, 2013; Google,“GenerationZ:newteens”, 2017

 

今日Z世代は、世界の全人口の3分の1近くを占めています※9。同時に、この世代はメッセージ機能のソフトウェアや、スマートフォン、オンラインでの男女の出会い、オンライン・ゲーム、フィンテック、インターネット・テレビ、オンライン上の資産の共有、イーコマースなどを含む、巨大な市場で活躍しています。

 

※9. Bloomberg

 

コンサルティング会社のマッキンゼー社の調査によると、オンライン上と実際の世界における経験や関連性に対して、若い世代は分け隔てなく捉えるとの結果が出ています。つまり、冒頭に出てきたシュミット氏のデジタル社会に対する見方は、このような若い世代を通じて実現されるものと見ています。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『デジタル社会への長い道のり』を参照)。

 

 

(2019年9月3日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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