あふれる違法民泊!「ホノルルの短期賃貸」規制開始

安定したインカムゲインを期待できるハワイ不動産。海外不動産のなかでもメジャーな投資先であり、投資家からの人気は高い。しかし、2019年8月1日に短期賃貸規制法案がホノルルで施行され、不動産市場への影響が懸念されている。本記事では、現地エージェントである大野純司氏が、その詳細を解説する。

オアフ島全体で「約1,700の許可証」が発行されるが…

◆短期賃貸規制法

 

2019年6月17日、ホノルルの短期賃貸規制法案が市議会で可決され、25日に市長も署名して法律になりました。短期賃貸は、リゾート地域以外では、1986年に発行された短期賃貸ライセンスを持っている物件でない限り、違法だったのですが、施行手段が制定されていなかったため、今まで野放しでした。今回、それが施行されるようになったわけです。

 

7月12日、600人の不動産エージェントを集めた3時間にもわたる説明会が行われたものの、そのなかで出た質問への回答の半分くらいは「分からない」というものでした。法律とはそんなものなのでしょう。

 

市議会議員は不動産の専門家ではありませんので、すべてのことを考慮して法律を作ることは無理です。いろいろな具体的質問に関して、それはまだこれから決めていかなければならないとしか答えられない場面がよくありました。もちろんこの短い記事で、3時間かけて説明してもらったことを全て書くことはできませんので、細かい具体的なことは不動産エージェントや管理士に頼んで、調べてもらわなければならないことが多いと思います。

 

◆B&B

 

短期賃貸には2種類あります。まず、オーナーあるいはその代理人がその家に住んでいて、ベッドルームを貸す場合はベッド&ブレックファスト(B&B)と呼ばれます。今回の法律によると、貸せるベッドルームは二つまでで、一つのベッドルームに1台の駐車場が必要です。別棟である場合は認められません。オーナーは個人でなければならず、法人は認められません。

 

B&Bの許可証をオアフ島全体で新しく約1,700発行するという計画ですが、B&Bを運営する家は、ほかのB&Bから300m以上離れていなければなりません。コンドは一つのビルに何十、何百ものユニットがあるわけですが、このルールによるとそのなかで1戸しか許可が下りないということになります。これをどうするかは、まだ決まっていません。

 

1,700以上の申し込みがある場合は抽選です。現在、許可なしに短期賃貸をしている物件がいくらあるかはよくわかりませんが、少なくとも6,000、多ければ2万あると言われています。そのすべてがB&Bではありませんし、今B&Bを運営している人すべてが申し込むわけでもないでしょうが、多分1,700以上の申し込みが来て、抽選になるでしょう。ただし、ノース・ショアは、sustainable communities(持続可能コミュニティー)と呼ばれ、B&Bの許可は出ません。

 

B&Bは、ゾーニング(土地利用規制)がリゾートになっている場所では基本的に許されます。Special district(特別地域)と呼ばれる地域がいくつかありますが、特にワイキキは非常に複雑で、ゾーニングを見ただけではわかりませんので、自分の持っている物件でB&Bができるかどうかを知りたい人は、Department of Planning and Permittingに直接聞くようにといわれました。リゾート地域以外のコンドホテル(例えばアラモアナ・ホテル)も同じです。もう一つ例外的な地域があるのですが、それはノース・ショアです。ノース・ショアは、sustainable communities(持続可能コミュニティー)と呼ばれ、B&Bの許可はでません。

 

施行する上で必要なウェブシステムの構築など、準備に時間がかかりますので、実際に許可をもらって、晴れて合法的にB&Bを営業できるようになるのは、2020年10月からです。しかし、違反に対する罰金は2019年8月から科せられます。すでに入っている予約をキャンセルしないで客を泊めた場合も処罰の対象となります。

 

◆TVU(Transient Vacation Unit)

 

次に、オーナーかその代理が住んでいない物件を短期賃貸として貸す場合は、TVU(Transient Vacation Unit、短期滞在者バケーション・ユニット)と呼ばれ、これも、リゾート地域以外では、1986年に一時的に発行された短期賃貸許可証をもらっていない物件はすべて違法です。これに関しては新しい許可は出ません。これは、短期賃貸を目的に物件を購入したハワイ州外の投資家にとっては大きな痛手です。4年償却できる木造物件を購入し、短期賃貸として使ってきた日本人は多いのではないかと想像しますが、長期(30日以上)で貸すか、売却を考えなければならないでしょう。

 

◆もともと違法だった短期賃貸

 

前述したように、短期賃貸は、今回の法律で違法になったわけではありません。もともと違法だったのですが、この法律は今まで罰金などがちゃんと決められてなかったので、それを制定し、その代わりに少数のB&Bを認めようというものです。

 

ですから、購入時に短期賃貸として使えますとエージェントに言われて買った場合、あるいはエージェントが短期賃貸の管理をしている場合、そのエージェントは法律を破っている、あるいは破るように勧めたわけですので、信用しないほうがよいかと思います。

 

◆カカアコはハワイ州管轄

 

もう一つ細かい話ですが、あてはまる人が結構多いかもしれませんので、書いておきたいことがあります。最近多くのコンドが開発されたカカアコ地域は、カカアコ・コミュニティー開発地域と呼ばれ、ここは州の管轄です。ですので、ホノルルではなく、州の法律が適用されます。

 

ホノルル市では、30日以上貸せばバケーション・レンタル(短期賃貸)とはみなされませんが、州法では180日以上でなければなりません。短期賃貸ができなくなれば、長期休暇を楽しむ人のために30日毎に貸すのも一つの解決方法ですが、それはカカアコでは認められないということです。

 

カカアコ地域はハワイ州管轄
カカアコ地域はハワイ州管轄

ワイキキの全エリアでの短期賃貸が合法になる可能性も

◆現在の状況は?

 

8月1日に施行されたばかりなので、まだ市場に大きな動きはありません。今回の法律は、インターネットの広告をもとに取り締まることになっているので、すでにほとんどの違法レンタルは宣伝を止めているようです。

 

しかし、すでに入っている予約に関しては、違法ではありますが、キャンセルしないでお客さんを受け入れているケースが多いようです。6千~2万あるとも言われる違法レンタルがすべてキャンセルされたら、もっと混乱が起きているはずではないかと思われます。予約済のものに関しては、もう宣伝する必要はないので、市に発見されて高い罰金を払わされる可能性もないと考えているのでしょう。

 

◆物件の値段が下がる可能性大

 

というわけで、短期賃貸に使われていた家やコンドがどっと売りに出たというわけではありません。6千~2万の違法レンタルのなかには、オーナーが住んでいて、家の一部を貸しているB&Bもあります。そのような家は、長期の部屋貸しはするかもしれませんが、売りはしないでしょう。

 

短期賃貸のためだけに使われている物件は、すでに入っている予約が終わったら、長期レンタルに切り替えるか、売りに出すことになると思います。そうなると、在庫が増えて、短期賃貸をしていたかどうかにかかわらず、ほぼすべての物件の値段が若干下がる可能性があります。

 

特にワイキキは、地元の人で住みたいという人はあまりいません。道は混んでいるし、物価は高いし、パレードでもあろうものなら、車でコンドから出られない、戻れないという状態になります。ワイキキで短期賃貸をしていた物件を長期(30日以上)のレンタルに替えるとしても、その多くは住民向けではなく、長期の観光客向けになると思います。欧米人は、日本人のように数日ではなく、数週間の休みを取る人も多いので、最初から法律をちゃんと守って30日以上の賃貸をしている物件はたくさんあります

 

コンド・ホテルは、一部のユニットがホテルとして使用されてきたのですが、リゾート地域にないもので、ホテルとして使用できなくなる物件がいくつかあります。そのような物件はすでに価格が下がっています。市を相手取った訴訟も起きています。

 

ワイキキは、将来的にはすべてリゾート・ゾーニングになり、短期賃貸が合法になる可能性があります。それまで待てるのであれば、値段が下がったときに買って、キャピタルゲインを狙えるかもしれませんし、実際にそれが目的で大規模な投資をしている日本人投資家はいます。

 

◆投資機会を逃さないで!

 

しかし、今回お話ししたいのは、安くなったら買えばいいという話ではなく、急がないと逃してしまう投資機会です。ワイキキ周辺のゾーニング(土地利用規制)はとても複雑で、ホノルル市は今、どの物件が短期賃貸を合法的にすることができるのか、1棟ごとに決めている状態です。短期賃貸の供給が減って宿泊料金が上がりますので、市が合法とみなした物件は価値も上がるでしょう。

 

コンド・ホテルの多くは大丈夫ですが、ホテルとして使わないユニットは、短期賃貸を禁止している、あるいは、禁止されていなくても、組合が超過料金を取ったり、ホテルの高いリネン・サービスを使わなければならなかったりする物件もありますので、購入を予定している方はエージェントにきちんと確認をしてください。

 

想像してみてください。オアフ島の宿泊施設の部屋数が一挙に6千~2万戸減ったのです。短期賃貸のなかには戸建てもたくさんあり、そのような物件は1戸で数部屋分減ったことになります。供給が減りますので、宿泊代は高くなるはずです。合法的に短期賃貸ができる数少ない物件は、ホテルも含めて、ずっと高い宿泊費を取れるようになるはずです。

 

◆人気のあるコンド投資

 

管理会社にすべてを任せた場合、現在の短期賃貸物件の総収益率(キャップレート)は、いいものでも4%以下でしょう。低いと思えるかもしれませんが、通常のコンドを買って普通に長期で貸しても、3%くらいの収益率しかありませんので、コンドの投資としては悪くはありません。自分がハワイに旅行するときに使えるとか、その旅費が経費で落とせるなどのメリットがあるのも人気の理由の一つかもしれません。AirB&Bなどを使って自分で管理すれば、その人の腕次第でもっと上がるでしょう。

 

日本にはサラリーマン投資家という言葉がありますが、米国ではサラリーマンだろうが何だろうが、不動産投資をするのは当たり前です。その米国の普通の投資家が、最初の投資物件としてお手頃なコンドを買うというのはよくあることです。それを考えると、短期賃貸の投資は、将来予想したほど宿泊代が上がらなかったとしても、よい投資だと言えるかもしれません。

 

◆「買ってよかった」を聞いてからでは遅い

 

ある短期賃貸専門の管理会社の社長の話によると、宿泊料はむこう1年間で最高50%くらい上がるのではないかということです。経費の一部は共益費や固定資産税などの固定費ですので、宿泊料が50%上がれば、営業純利益はたぶん7割以上増えるはずですが、私が思うには、総収益率は6%を超えると思います。

 

単純に収入還元で計算すると、営業純利益が7割増えれば、物件の価値も7割上がるということになりますが、物件の評価方法は収入還元だけではありませんので、再調達原価よりもずっと高くなることはないでしょう。しかし、上がることは間違いありません。宿泊代も、本当に50%も上がるかどうかわかりませんが、すでに上がり始めています。買うなら今です。実は私も購入を検討していますが、買ってよかったという話を聞いてからでは遅いのです。先週見に行った二つの物件は、既に売れていました。

 

 

大野 純司

Urban Real Estate Consulting Corporation Hawaii CEO

COLDWELL BANKER PACIFIC PROPERTIES
 

Urban Real Estate Consulting Corporation Hawaii CEO
COLDWELL BANKER PACIFIC PROPERTIES
Realtor-Associate RS-80642 

愛媛県出身。牧師。
アメリカ本土に約10年、ハワイホノルルに30年近く居住。
ハワイ州の不動産ライセンスを保有。
長年、全米不動産管理協会(IREM)と全米認定不動産投資顧問協会(CCIM)の通訳・翻訳に携わり、ハワイはもとよりグローバルな不動産ネットワークを持つ。

著者紹介

連載現地エージェントが最新情報をお届け!「ハワイ不動産投資」の魅力

本連載は、アーバンレックハワイが運営するウェブサイト「URBANREC HAWAII」の記事を転載・再編集したものです。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧