景気後退期入りは免れる
4-6月期成長率は前期比+0.1%
■7月31日に公表されたメキシコの4-6月期実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.1%となり、1-3月期(同▲0.2%)から2四半期連続のマイナス成長(景気後退期入り)を免れました。
■ただ、回復の兆しは見えておらず、最大の貿易相手国である米国の景気減速懸念が強まる中、メキシコ経済もその影響を受けると考えられます。
■足元の経済指標を見ると、6月の鉱工業生産指数は前年比▲2.9%と4月以降マイナスが続いている一方で、消費者物価は、農畜産物やエネルギー等を除くコア指数が4月以降、物価目標上限の4%近くで下げ渋っています。
5年ぶりの利下げを実施
景気減速懸念や米利下げ受け
■メキシコ銀行(中央銀行)は8月15日、約5年ぶりに利下げを行い、政策金利を8.25%から8%としました。世界的な景気減速リスクの高まりや米利下げが背景です。
■今後の金融政策については、インフレや通貨に対する中銀の慎重姿勢から年内の据え置きが見込まれます。但し、メキシコ銀行はこれまで、通貨防衛やインフレ抑制のため米国の金融政策を考慮して政策金利を決定してきたため、米国の状況次第では更なる利下げの可能性が残ります。
公共事業による景気押し上げ効果など、9月発表の予算案に注目
■当面、軟調な推移が予想されるメキシコ経済ですが、ロペス・オブラドール大統領は貧困対策や社会保障充実を目指し、開発の遅れている地域などへの大型インフラプロジェクトを公約に掲げており、公共事業による景気押し上げ効果が期待されます。但し、大衆迎合的な経済政策などにより、財政規律への信認が薄れるとの懸念もあり、9月上旬に発表が予定される2020年予算案が注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『利下げや公共事業での景気押し上げ効果を期待』を参照)。
(2019年8月19日)
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