ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

7月の投資環境

7月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で上昇しました。世界の株式市場は、月初から米中首脳が通商協議再開で合意したことや、低調な米ISM製造業景況指数などを受けて米国の利下げ期待が高まったことなどを背景に上昇しました。その後、中旬にかけては経済指標の内容やパウエル議長など米連邦準備制度理事会(FRB)当局者の発言により米国の利下げ幅に対する見方が変化する中、株式市場は上下する展開となりました。下旬には米中通商協議への期待に対する思惑などから変動しながらも上昇し、月間でも上昇となりました。

 

円換算ベース、月次、期間:2009年7月末~2019年7月末 ※先進国株式:MSCI世界株価指数、水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数(株価指数はすべて配当込み、ネットベース) 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]水関連企業の株価推移 円換算ベース、月次、期間:2009年7月末~2019年7月末
※先進国株式:MSCI世界株価指数、水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数(株価指数はすべて配当込み、ネットベース)
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

業種別では、情報技術やコミュニケーション・サービス、生活必需品などが市場平均を上回って上昇した一方、エネルギーは下落、ヘルスケア、素材、公益などは小幅な上昇にとどまりました。こうした中、水関連企業の株価(現地通貨ベース)は市場を上回る上昇となりました。

 

月次、期間:2009年7月末~2019年7月末 ※水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表2]水関連企業の株価収益率(PER)の推移 月次、期間:2009年7月末~2019年7月末
※水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

上下水道ビジネスセクターは、ヴェオリア・エンバイロメントやサンパウロ州基礎衛生公社など欧州および新興国のコンセッション銘柄にけん引され、良好なパフォーマンスとなりました。サンパウロ州基礎衛生公社は、新しい規制の枠組みが当社に恩恵をもたらすと見られて株価は年初来上昇を続けています。

 

装置製造エンジニアリングセクターでは、米国の住宅関連指標の回復を背景に消費関連銘柄が良好なパフォーマンスとなった一方、モニタリング関連銘柄が下落し、前月比ほぼ変わらずとなりました。ファーガソンは建材および水道設備卸のトップ企業ですが、英国籍であるものの売上げのほとんどが北米であるため、米国の住宅関連指標の改善を背景に株価は上昇しました。更に、アクティビストのトリアンが当社に対し、英国でのビジネスを終了し米国に集中すべき、と説得を試みていることを投資家は好意的に見ているようです。

 

 

一方、パーキンエルマーは第2四半期決算発表を受け大幅に下落しました。通期ガイダンスの若干の修正にもかかわらず、中国での当社製品の需要減速についての弱気なコメントが懸念され、またこのような状況がダナハーやサーモフィッシャー・サイエンティフィックなど競合他社の見通しには見られなかったため、投資家の懸念が高まりました。サーモフィッシャー・サイエンティフィックは、中期見通しが上方修正されたものの一時的な要因によるものと見られ、またこれまで株価が上昇してきたこともあって下落しました。

 

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環境マネジメント・サービスセクターも、ウエイスト・コネクションの下落が他の廃棄物処理銘柄の上昇分を相殺し、前月比ほぼ変わらずのパフォーマンスとなりました。ウエイスト・コネクションズは、コアビジネス以外であるリサイクル事業やコモディティ価格下落などの要因により第2四半期の収益が市場予想に達しなかったことや、通期ガイダンスを引下げたため、軟調な株価推移となりました。しかしながら、当社の主力である廃棄物処理事業については大変堅調で更なる事業強化を続けています。

今後の見通し

足元では、貿易問題や米国の金融政策、地政学リスクなどマクロ経済見通しを不透明にする多くの要因があり、世界の経済成長は一進一退です。不透明な環境は、米国など数少ないエリアを除き、世界全体の製造業景気指数が弱気な見通しを示すなどビジネス・センチメントに影響しています。グローバルでは2019年の企業業績は2018年より緩やかなぺースで成長すると予想されていますが、GDP成長率見通しは2018年並みとされています。

 

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

記載のデータは、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年7月の水関連株式市場』を参照)。

 

 

(2019年8月19日)

 

 

 

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