7月の中国株はやや軟調
■7月の中国株式市場はやや軟調な展開となりました。月前半に中国の景気減速懸念が再燃したことや、ハイテク企業を中心とする新市場「科創板」の22日開設を控えて、既存株の換金売りが入ったことなどが重石となりました。代表的な株式指数の上海総合指数は、前月末の米中首脳会談を好感して月初に3,000ポイントの大台を回復したものの、その後景気減速懸念から反落しました。月末にかけては、米利下げ観測や米中通商協議への期待などから小幅に戻す展開となりました。
米国の制裁関税第4弾を契機に米中対立が激化
■8月1日にトランプ大統領が中国製品に対する制裁関税第4弾の発動を表明したことを契機に米中関係の混迷度が増しています。5日に米国が中国を為替操作国に認定、中国は米国からの農産物購入の一時停止を発表しました。両国の対立が一段と激化したことで、世界の株式市場はリスク回避の動きが広がり、波乱の展開となるなか、中国株式市場も調整しています。
当面は不安定な展開
■米中対立の一段の激化を受けて、グローバル景気の冷え込みが懸念されることからリスク回避の動きが強まりやすく、中国株式市場は当面不安定な展開が見込まれます。下方修正のペースが弱まる傾向にあった企業業績予想が、プラスに転じる時期が見通しにくくなってきたことも相場の重石となりそうです。ただし、減速傾向にある中国経済については、財政支出発動余地があり、景気の腰折れは想定していないことから、株式市場が大崩れする可能性は小さいとみています。
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(2019年8月7日)
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