株価が高くなる理由は様々ですが、「純資産価額方式」と「類似業種比準価額方式」では当然ながら要因が異なります。それぞれ代表的な要因を見ていきましょう。

以前購入した土地の含み益が株価高騰の原因に

純資産価額方式で株式評価すると高くなる要因は、貸借対照表(B/S)の資産の部に「含み益」がある場合が考えられます。この評価方法による純資産価額は、相続税評価額に換算した「総資産額」から、同様に換算した「負債価額」を差し引いた価額をベースにして算出されます。
 
かなり以前に買った土地の価格が年数とともに上昇し、相続税評価額が買い入れたときの価格をはるかに超えるとB/Sには表れない大きな含み益を生み、株価を引き上げる要因になるケースです。
 
内部留保が累積して簿価純資産を高くしている場合も、株価を引き上げる大きな原因です。中小企業の多くは金融機関からの信用力が低いため、できるだけ内部留保して資産調達が必要なときに備えようとします。もちろんそうすることで立派な優良企業ともいえますが、逆にこれが株価を引き上げる要因にもなります。

株価引き上げの要因を把握して早めの対策を

類似業種比準価額方式が株価を引き上げる要因としては、例えば下記のものがあります。

・評価基準となる上場会社の株価上昇
・相対的に高い配当率
・1株当たりの年利益金額が高い
・1株当たりの簿価純資産価額が高い

株価引き上げの要因が分かれば、対策を打つことが可能です。有効な対策でも、効果が出るまで時間がかかるものも少なくなりませんので、早目早目の対応が求められます。

 

 

本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』から抜粋したものです。2015年1月1日施行の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

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