財政とは?
財政とは、国(政府)のお金の話です。家計や企業と同様に、国にも収入と支出があり、資産と負債があります。国の収入である財政収入(歳入)から、国の支出である財政支出(歳出)を差し引いたのが財政収支です。収入以上の支出をする場合、足りない分のお金は、家計や企業と同様に借金をして調達をします。
では日本の財政を見てみましょう。日本政府の収支には一般会計と特別会計の2つがあります。特別会計は「例外予算」と考えると分かりやすくなります。一般会計で全体の予算がこのくらいでそれぞれにこう使う、というのを決める議論とは別に、各省庁が「例外的にこういう名目でこのくらいお金がかかる」として予算を確保するのが特別会計です。
日本の一般会計は約100兆円の規模ですが、特別会計も合わせると約240兆円の規模となります(図表1)。つまり、「例外」のほうが多いことになります。
平成15年の衆議院財務金融委員会で塩川財務大臣(当時)が一般会計と特別会計を「おかゆ」と「すき焼き」に例えたエピソードが有名です。「(略)母屋ではおかゆ食って、辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる、そういう状況が実際行われておるんです。(略)」と発言しました。
日本の財政を見る際には、一般会計だけではなく、特別会計も合わせて確認する必要があります。
財政悪化の要因
わが国の財政状況を一般会計・特別会計の合算で見ると、社会保障関係費と国債費の歳出額が非常に大きいことが分かります(図表2)。社会保障関係費は、年金、医療、介護などの社会保障給付費用のことです。68.5兆円(平成21年度)から86.4兆円(平成28年度)と、高齢化の進展などにともなって大きく伸びてきています。
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また国債費は債務の返済および利払い費であり、78.9兆円(平成21年度)から92兆円(平成28年度)と、租税・印紙収入額と保険料収入額の合算額に匹敵する金額にまで増えてきています(図表1、図表2)。
こうした赤字をまかなうために赤字国債の発行を続けた結果、日本の国債残高(国の借金)は増加の一途を辿っています(図表3)。近年では、歳出面では高齢化の進展等に伴う社会保障関係費の増加や地方財政の悪化に伴う財源不足の補填(地方交付税交付金)の増加が主因となっています。また歳入面では景気の悪化や減税による税収の落ち込みが主因となります。
主要国の財政状況
日本の財政状況は以前と比べて大幅に悪化しています。政府債務残高(対GDP比)を見ると世界の中でも最悪な水準にあります(図表4)。また日本以外の先進国も政府債務比率が80%超えており、財政状態が悪く、先進国=財政健全国とは言えなくなりました。
過去、積み上がった国の借金を減らすためにいくつかの方法がとられました。①増税、支出削減などによる政府収支の改善での債務削減、②インフレによる債務削減、③経済の名目成長が債務拡大を上回る、④デフォルト(債務不履行)、ヘアカット(債務の減免)などがありました。特に②は、第一次、第二次世界大戦後のドイツや日本など、ハイパーインフレーションにより債務の価値を削減しました(借金の実質価値が減少しました)。
またインフレには税収アップ効果があります。消費税などの税率はインフレ率に合わせて変るわけではないため、物価が上昇すればその分、税収も増えることになります。このように財政状況が悪い国では債務価値の削減のために緩やかなインフレニーズがあると考えられ、お金の価値を守るための対策が必要となります。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識マクロ経済編(5)<日本と主要国の財政状況について>』を参照)。
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