中央競馬GI7勝、平成を駆けたディープインパクト号が30日に死去した。頚椎骨折による安楽死処分だという。通算成績は14戦12勝(獲得賞金約14億5,000万円)。セリ価格は約7,000万円で落札された名馬であった。種牡馬としてもセリ価格が億超えの馬を量産するディープインパクト・バブルを巻き起こした。本記事では名馬ディープインパクト号の追悼の意味を込めて、償却資産としての「競走馬」の実態を紹介する。

競走馬が「節税」に使われている!?

競走馬の価格は数百万円から数億円と幅広い。前述のようにディープインパクト号は約7,000万円で落札された。

 

競走馬の償却期間は「4年」である。これは競走馬が通常現役でいられる期間が2歳4月から6歳3月までの4年間であるためだ(2016年からは早ければ馬齢1歳の9月より減価償却を開始することが可能となった)。高額で比較的短い償却期間である競走馬を、節税目的(プラス大勝すれば大儲けである)で購入する富裕層も少なくない。

 

帳簿価格「1円」まで減価償却(定額法)を行うことができる。有馬記念で勝利した馬の資産価値が帳簿上は「1円」ということもありうるわけだから、衝撃的(?)だ。

 

それでは骨折などで走れなくなってしまった場合の税務処理はどうなるか? 4年間の償却期間のうち、残存期間がどれほどあったかにもよるが、「廃馬売却損」として計上するケースもあるようだ。

「種馬」としても減価償却される?

引退後、億超えの値がつく産駒(子)を量産し、種馬としても優秀であったディープインパクトであるが、その資産価値はどのように計上されるのか。

 

「種馬」の減価償却期間は6年である。種馬としての購入価格が6年間かけて減価償却される。ちなみに売買価格で計算するため、馬主が種馬として所有し続けても、新たに資産価値が計上されることはない。

 

競走馬から種馬に昇格(?)できるのは極一部であり、その分、価格も高額となる。これがかなえば馬主はかなりの売却益を得ることにはなるが(もちろん、そういう競走馬は多くの賞金も手に入れているであろう)、滅多にあることではない。そういった意味でも競走馬の購入は、賞金や売却益という夢を買いながら、節税を目的としている部分も大きいのだろう。

 

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