FX等の「短期トレード」で不労所得の仕組みが作れない理由

為替相場の見極めはプロでも難しく、「円安か、円高か」といった単純な二択のゲームと考えるのは危険です。ここでは、FX等の短期的なトレードが不労所得の仕組み作りに向かない理由と、長期投資のメリットについて解説します。本記事は、ベストセラー作家で自ら数億円を運用する投資家でもある加谷珪一氏の著書、『“投資”に踏み出せない人のための「不労所得」入門』(イースト・プレス)より一部を抜粋し、不労所得を得るさまざまな方法を分析・解説します。

誰かを出し抜かなければ利益を得られない「FX」

 FX 

労力   ★★☆☆☆

リスク  ★★★☆☆

リターン ★★★☆☆

難易度  ★★☆☆☆

 

中にはFXに取り組んでみたいという人もいると思います。短期的な投資という意味での基本的な考え方は、株式投資とさほど違いはありません。しかし、FXの場合には株式投資にはないリスクもありますから、さらに注意が必要です。

 

個人的には、投資の初心者はFXには投資をしない方がよいと考えています。為替取引は、一見すると円安になるか円高になるかの2つに1つなので、単純なゲームに思えるかもしれません。しかし、為替の値動きを決定する要因は無数に存在しており、何で為替が決まるのかについて、結論付けるのは簡単ではありません。

 

長期的に見た場合には、為替は2国間の物価水準との相関性が高いことが知られています。ドル円を例に取れば、ニクソンショック以来、40年間にわたってドル円は購買力平価(2国通貨の購買力の比率)による為替レートと高い相関性を示してきました。

 

しかし、短期的には為替市場も極めてランダムに近い動きをするので、為替の短期的な方向性を予測するのは、プロでもかなり難しいというのが現実です。さらに為替の場合、株式投資とは根本的に異なる要素があります。

 

株式は相場全体が上昇すれば、全員が利益を得るということも可能となります。つまり利益の幅には差は出るものの、負けた人がいないという状況を実現することができます。

 

しかし、為替にはそうした性質はありません。たとえば、ある投資家が円を売ったとすると、同じ金額だけ円を買った(つまりドルを売った)投資家が存在します。その後、円が下落すれば、円を買った投資家はその分だけ確実に損をすることになります。

 

つまり、為替取引の場合には、儲かった投資家がいれば、同じ金額だけ損をした投資家が必ず存在しているのです。つまり為替の場合には、全員が何らかの形で儲かったという結果にはならず、誰かを出し抜かなければ利益を得られない仕組みになっているのです。

 

これはゼロサム・ゲームに近い状況であり、限りなくギャンブル性が高いという結論になります。為替の短期的なトレードで継続的に利益を上げることは非常に難しいと考えた方がよいでしょう。

短期売買による精神的負担は極めて重い

総合的に考えた場合、FXはもちろんのこと、株式投資であっても、短期的なトレードは不労所得には向いていません。

 

あえていうなら、一定期間、短期投資でそれなりの金額を稼ぎ、その資金を長期投資や不動産など、別の投資対象に振り向けるというのはアリだと思います。しかし、短期売買は得意不得意がはっきりしていますし、何より投資をしている間の精神的な負担が極めて重いという特徴があります。

 

筆者は基本的に長期投資を主軸に資産運用を行っていますが、信用取引を使った短期投資やオプション取引などについても、一通りの経験があります。筆者の場合、こうした緊張度の高い取引を、長い期間継続するのは無理でした。

 

信用取引の場合、「買い」ではなく「売り」から入ること(いわゆる空売り)もできますが、空売りの場合、予想に反して株価が上昇してしまった場合、自身が抱える損失は、理論上は無限大となります(株価に理論的な上限がないというのがその理由です)。株価の下落を予想して空売りしたにもかかわらず、逆に株価が上昇して損失を抱えることを、俗に「踏み上げ」などと言いますが、「踏まれた」時の恐怖感は言葉では言い表せません。

 

筆者は起業の経験もあり、胆力は備わっている自負はありますが、それでも短期投資の精神的負担は極めて大きいものでした。よほどタフな人でなければ、平常心を貫くことは難しいでしょう。

つみたてNISAやiDeCoは破格の優遇制度

結局のところ、短期的な投資は割に合わないことが多いですから、どうしても短期取引をしたいという人以外は、積極的には取り組まない方がよいでしょう。

 

投資に興味があるという人に対しては、筆者と同じく長期的なスタンスでの投資をお勧めします。

 

長期で投資する際に重要なのは、投資で得られた資金は必ず再投資し、複利のメリットを享受できるようにすることです。複利のメリットを生かせば、時間が経過するほど資産拡大に弾みがつくことになります。

 

公的年金の財政が厳しくなっていることから、政府も長期的な投資を推奨するようになっており、「つみたてNISA(積み立てNISA)」や「iDeCo(イデコ)」といった新しい制度を構築しています。投資のことがよく分からないという人は、こうした制度を利用してみるのも1つの方法でしょう。

 

積み立てNISAやiDeCoは、毎月一定額を自動的に投資して積み立てていくという制度です。投資家のスタンスに合わせて複数の商品が用意されており、その中から気に入った商品を選ぶことで、あとは自動的に投資が継続される仕組みです。

 

こうした投資を推奨するため、積み立てNISAやiDeCoには、政府による税制面での優遇措置が設定されています。

 

どちらも運用益については非課税となっており、iDeCoの場合には、投資した金額も所得税や住民税から控除されます。税金大国である日本の現状を考えると、これはかなり破格の制度といってよいでしょう。

 

つみたてNISAは、投資期間が20年と短めの設定となっており、その間にいつでも資金を引き出すことができます。一方、iDeCoは60歳になるまで原則として資金の引き出しはできません。

 

どちらがよいのかは投資の目的によって変わってくると思います。完全に年金の補完にしたいという人は、iDeCoを選択した方がよいでしょう。投資した資金について、一括でもらうこともできますし、分割で受け取ることも可能です。

 

一方、つみたてNISAは、もう少し短いタームで資産を作りたいという人に最適な制度ということになります。

 

投資にはリスクが付きものですが、長期で取り組めば、仮にリーマンショックのような出来事があっても、その後の回復で損失を取り戻せる確率も高まります。少なくとも20年くらいのタームで、腰を据えて取り組むことが重要です。

 

 こんな人にオススメ! 

 

◎ハイリスクに耐える胆力がある(短期)。

◎堅実で、長いスパンで投資を考えられる(長期)。

◎政治や経済の情勢に関心がある。

 

 

加谷 珪一

経済評論家

経済評論家

東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っており、ニューズウィーク日本版、現代ビジネスなど多くの媒体で連載を持つ。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。

加谷珪一オフィシャルサイト http://k-kaya.com/

著者紹介

連載“投資”に踏み出せない人のための「不労所得」入門

本連載は、特定の金融商品の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、イースト・プレス、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

“投資”に踏み出せない人のための「不労所得」入門 

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加谷 珪一

イースト・プレス

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