市場は円高、株高、債券高

日銀は現状の金融緩和策を維持(2019年6月)/デイリーマーケットレポート

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 調査部
市場は円高、株高、債券高

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

 

現状の金融政策を維持

市場の予想通り

 

■日銀は20日、市場の予想通り、金融政策の現状維持を決定しました。短期の政策金利を▲0.1%、長期金利である10年物国債利回りをゼロ%程度とする金融調節を維持しました。また、長期国債を買い増すペースを年間で約80兆円を目途とすること、ETFやリートの買入れ方針に加え、フォワードガイダンス(先行きの指針)も据え置きました。

 

■景気や物価の判断もほぼ変更ありませんでした。

 

政策金利と消費者物価指数

(注)データは2015年1月~2019年6月。消費者物価指数は2019年4月まで。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(注)データは2015年1月~2019年6月。消費者物価指数は2019年4月まで。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

市場は円高、株高、債券高

長期金利は16年8月以来の低水準

 

■19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)により米利下げ観測が一段と強まったことや、日銀の金融政策維持を受けて、市場は前日比で円高、株高、債券高で推移しています(20日15時時点)。

 

■円相場は、1ドル=107円60銭近辺と、今年1月上旬以来の高値を付けました。日経平均株価は21,462円と、約1カ月半ぶりの高値を付けました。10年物国債利回りはマイナス0.16%程度と、2016年8月以来の低い水準を付けました。

 

長期金利と米ドル円レート

(注)データは2018年1月4日~2019年6月20日。2019年6月20日は15時時点。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(注)データは2018年1月4日~2019年6月20日。2019年6月20日は15時時点。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

日銀は長短の政策金利を現状維持

 

■米中貿易摩擦の激化により世界景気が減速しており、国内景気の先行きに不透明感が強まっています。米国や欧州の中央銀行が金融緩和に舵を切るとみられるなかで、世界的に金利低下の流れが強まっており、金利差縮小から円相場には上昇圧力がかかりやすい地合いです。こうした状況でも、地方銀行を中心に銀行収益に打撃となるため日銀はマイナス金利の深掘りなど利下げには慎重にならざるを得ないと考えられます。

 

■このため急激な円高がなければ、日銀は長短の政策金利を据え置くとみられます。ただ、フォワードガイダンスのなかで、「2020年春頃まで」の時期を更に長期化するなどにより、緩和姿勢の強化を示す可能性はあります。

 

 

(2019年6月20日)

 

関連マーケットレポート

2019年6月12日 『街角景気』は先行きが大幅悪化

2019年6月04日 『法人企業統計』、経常利益が持ち直し

 

●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録