現状の金融政策を維持
市場の予想通り
■日銀は20日、市場の予想通り、金融政策の現状維持を決定しました。短期の政策金利を▲0.1%、長期金利である10年物国債利回りをゼロ%程度とする金融調節を維持しました。また、長期国債を買い増すペースを年間で約80兆円を目途とすること、ETFやリートの買入れ方針に加え、フォワードガイダンス(先行きの指針)も据え置きました。
■景気や物価の判断もほぼ変更ありませんでした。
政策金利と消費者物価指数
市場は円高、株高、債券高
長期金利は16年8月以来の低水準
■19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)により米利下げ観測が一段と強まったことや、日銀の金融政策維持を受けて、市場は前日比で円高、株高、債券高で推移しています(20日15時時点)。
■円相場は、1ドル=107円60銭近辺と、今年1月上旬以来の高値を付けました。日経平均株価は21,462円と、約1カ月半ぶりの高値を付けました。10年物国債利回りはマイナス0.16%程度と、2016年8月以来の低い水準を付けました。
長期金利と米ドル円レート
日銀は長短の政策金利を現状維持
■米中貿易摩擦の激化により世界景気が減速しており、国内景気の先行きに不透明感が強まっています。米国や欧州の中央銀行が金融緩和に舵を切るとみられるなかで、世界的に金利低下の流れが強まっており、金利差縮小から円相場には上昇圧力がかかりやすい地合いです。こうした状況でも、地方銀行を中心に銀行収益に打撃となるため日銀はマイナス金利の深掘りなど利下げには慎重にならざるを得ないと考えられます。
■このため急激な円高がなければ、日銀は長短の政策金利を据え置くとみられます。ただ、フォワードガイダンスのなかで、「2020年春頃まで」の時期を更に長期化するなどにより、緩和姿勢の強化を示す可能性はあります。
(2019年6月20日)
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