2019年5月の水関連株式市場

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

5月の投資環境

5月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で下落しました。

 

世界の株式市場は、米トランプ大統領が対中関税の引き上げを警告し、中国も報復措置を発表するなど米中通商問題の激化を背景に上旬から下落する動きとなりました。その後、米国が輸入車などへの追加関税を延期したことなどを受けて反発する場面もありましたが、米国が中国の通信機器大手メーカーなどに対する取引規制を発表したことなどを受け米中通商問題が長期化し世界経済の成長鈍化につながるとの懸念が高まったことや、メイ首相が退陣を表明し英国の欧州連合(EU)離脱の先行き不透明感が高まったことなどから値下がりし、月間でも下落しました。

 

業種別では、公益やヘルスケア、生活必需品などディフェンシブ性(業績が景気の変動に左右されにくい特性)の高い業種は相対的に小幅な下落にとどまった一方、エネルギー、情報技術、素材などは下落率が大きくなりました。

 

こうした中、水関連企業の株価(現地通貨ベース)はディフェンシブ性を発揮し市場より小幅な下落にとどまりました。セクター別では、装置製造エンジニアリング・セクターが最も下落し、上下水道ビジネス及び環境マネジメント・サービスの両セクターは比較的小幅な下落となりました。

 

[図表1]水関連企業の株価推移  円換算ベース、月次、期間:2009年5月末~2019年5月末 ※先進国株式:MSCI世界株価指数、水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数(株価指数はすべて配当込み、ネットベース) 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]水関連企業の株価推移
円換算ベース、月次、期間:2009年5月末~2019年5月末
※先進国株式:MSCI世界株価指数、水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数(株価指数はすべて配当込み、ネットベース)
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

装置製造エンジニアリグ・セクターでは、ギーベリッツのCEOが競争優位性とビジネスモデルを強化するためのイノベーションについて前向きなコメントをしたことや2019年下半期の利益率の改善や継続的な本業の利益成長率の上昇が好感され株価が上昇しました。一方、ザイレムは、2019年第1四半期決算において、主要製品への需要は好調ななかで利益率が比較的低かったことから株価が下落しました。これにより、2019年通期の収益見通しが引き下げられましたが、2020年の計画は維持しています。

 

A.O.スミスは、中国の需要低迷、在庫増、第1四半期決算で北米が軟調だったことなどの懸念のレポートが発行されたことなどに反応し株価は下落しましたが、足元の株価は魅力的な水準と考えています。トロは寒さが長引いたことや関税、供給業者の問題などにより2019年第2四半期決算が市場の期待を下回ったため株価が下落しましたが、2019年の収益予想と一株あたり利益のガイダンスを上方修正しました。

 

[図表2]水関連企業の株価収益率(PER)の推移 月次、期間:2009年5月末~2019年5月末 ※水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表2]水関連企業の株価収益率(PER)の推移
月次、期間:2009年5月末~2019年5月末
※水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

上下水道ビジネス・セクターは、アメリカン・ウォーター・ワークスが驚きは無いものの安心できる内容の第1四半期決算だったことや通期のガイダンスを引き上げたことを受け上昇しました。カントン・インベストメントは、向こう3年間は一株あたり利益と一株あたり配当がそれぞれ年率15%と10%の水準で上昇することが示唆され株価が上昇しました。この上昇は世界の経済成長の状況に依存しないものだと期待されます。事業の買収は、2019年4月中旬以降買収を進める4つの水資源プロジェクトを含め、引き続き同社の利益成長の重要な要素です。

 

環境マネジメント・サービス・セクターは、最も小幅な下落に留まりました。米国の廃棄物処理企業大手3社が現地通貨ベースで上昇しました。最大手のウエイスト・マネジメントは最近アナリスト・ミーティングを行い、廃棄物処理セクターが以前に比べ構造的な価格上昇サイクルであるということや、資本配分においてより収益性を重視し、比較的負債が少なく収益性の高い事業買収に向けて借入れ拡大の余地がある点などを説明しました。

今後の見通し

世界の経済成長は、貿易摩擦の激化、米金融政策と中国の景気刺激策などにより不透明感を増し、足元の世界の経済成長は減速をみせています。また、グローバルでは企業の2019年の利益成長は2018年の増益ペースに比べ減速すると予想されています。しかしながら、GDP(国内総生産)成長率見通しは2018年並みの水準が維持されており、今後の見通しの変化に注視が必要です。

 

 

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年5月の水関連株式市場』を参照)。

 

 

(2019年6月18日)

 

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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