バイオ医薬品関連企業の株価動向
3月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。
3月のバイオ医薬品市場は、変動の大きい展開となりました。月初には、ゴットリーブ米食品医薬品局(FDA)長官が、突然、辞任の意向表明し、市場を動揺させました。同氏は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の薬価引き下げを通じて業界の競争を促す等、革新的な取り組みが高く評価されていました。このニュースを受けて当初大きく下落していたバイオ市場は、その後、急速に回復しました。
21日には、バイオジェン(米国)が、開発中のアルツハイマー病治療薬候補アデュカヌマブの治験中止を発表しました。バイオジェンは、株価の急落を受けて180億ドル相当の時価総額を失い、バイオ医薬品株式全体も下落しましたが、その後、バイオ医薬品株式は急速に値を戻しました。また、エスペリオン・セラピューティクス(米国)は、業績改善のきっかけに欠けることを受けて売られました。

(ナスダック・バイオテック指数)の推移
※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値
※PSR:2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
今後のバイオ医薬品市場見通し
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。
最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表5参照)。
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![[図表5]売上高の推移 米ドルベース、期間:2001年12月~2018年12月 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/500/img_303db7b8e080a7d3c8b13a983a1e5b9a53431.jpg)
米ドルベース、期間:2001年12月~2018年12月
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表6参照)。
![[図表6]今後2年間の売上高伸び率(年率)予想 時点:2019年4月8日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/6/8/500/img_6811b84fbef4d41c96cf4708942012df28641.jpg)
時点:2019年4月8日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表7参照)。
![[図表7]バイオ医薬品関連企業の売上高と株価の推移 期間:2006年12月~2018年12月(実績)、2019~21年(予想) ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出※2019年~2021年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/f/c/500/img_fc5ff75a51f257803f0084d39e21c72951776.jpg)
期間:2006年12月~2018年12月(実績)、2019~21年(予想)
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出※2019年~2021年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
バリュエーション
2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています。(図表8参照)
![[図表8]ナスダック・バイオテック指数とPSRの推移 米ドルベース、月次、期間:2003年3月~2019年3月 ※PSR:株価売上高倍率。2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/d/0/500/img_d05a1edd2140dcc03ad30a5fddb0f8a357514.jpg)
米ドルベース、月次、期間:2003年3月~2019年3月
※PSR:株価売上高倍率。2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
※データは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
※記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、当資料におけるデータは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
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※MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年3月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2019年4月17日)
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