バイオ医薬品関連企業の株価動向
3月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。
3月のバイオ医薬品市場は、変動の大きい展開となりました。月初には、ゴットリーブ米食品医薬品局(FDA)長官が、突然、辞任の意向表明し、市場を動揺させました。同氏は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の薬価引き下げを通じて業界の競争を促す等、革新的な取り組みが高く評価されていました。このニュースを受けて当初大きく下落していたバイオ市場は、その後、急速に回復しました。
21日には、バイオジェン(米国)が、開発中のアルツハイマー病治療薬候補アデュカヌマブの治験中止を発表しました。バイオジェンは、株価の急落を受けて180億ドル相当の時価総額を失い、バイオ医薬品株式全体も下落しましたが、その後、バイオ医薬品株式は急速に値を戻しました。また、エスペリオン・セラピューティクス(米国)は、業績改善のきっかけに欠けることを受けて売られました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。
最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表5参照)。
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バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表6参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表7参照)。
バリュエーション
2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています。(図表8参照)
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当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年3月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2019年4月17日)
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