実践的基礎知識 クレジット編(1)<クレジット投資とは?>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

クレジット投資とは

クレジット投資とは信用リスクをとることでより高いリターンを得ようとする投資です。信用力、弁済順位、担保の有無、普通株式への転換か償還延期などの条件等によって、様々な投資対象があります。相対的に高い利回りが魅力ですが、どのような仕組みなのか、どのような種類でどのくらいの大きさのリスクをとっているのか、といったことを理解した上で投資することが重要です。

 

 

債券投資と株式投資の違い

社債などに投資するクレジット投資とは信用リスクをとることでより高いリターンを得ようとする投資です。まず、投資家が債券や株式に投資した場合、発行体である企業側から見るとどのような形になるのでしょうか。債券も株式も企業側から見るといずれも投資家からお金を出してもらうことになりますが、その位置付け、性格が異なります(図表1)。まず債券投資は融資同様、「お金を貸す」という性格のもので、企業側から見れば「債権者」という立場です。一方、株式投資は「会社を買って自分のものにする」あるいは「共同オーナーの1人になる」という性格のもので、企業側から見れば「オーナー」(株主)という立場になります。

 

[図表1]企業のバランスシート概念図
[図表1]企業のバランスシート概念図

 

債券投資の主なリターンは融資先から得られる利息である利金収益で、社債に投資した投資家はたとえ投資先企業が大きな成功をおさめたとしてもリターンは限定的です。一方、株式投資の場合は投資先企業の成長をオーナーとしてそのまま享受できるため、大きなリターンが期待できます。一方、企業が解散した場合、株主は資産を処分して借金を返して残った額を受け取ることができますが、債務超過で破たんした場合には借金も完済できないことが多く、その場合残りはゼロ、つまり残りを受け取る権利を表す株式(自己資本)の価値はゼロになります。

 

このように債券投資と株式投資では性格が大きく異なります。まず投資した資金が企業にとって返済義務のある負債(他人資本)となるのか、返済義務のない自己資本となるのか、確認する必要があります。そして、クレジット投資の中には返済義務のないもの、償還日や利払い日が延期されてしまう可能性があるもの、株式に近い性格を持つもの、本当に株式に転換される可能性のあるもの、等もありますので注意が必要です。

弁済順位の違い

では次にクレジット投資の主な種類についてご説明します。信用リスクをとって高いリターンを得ることが目的ですが、信用力、弁済順位、担保の有無、などの条件によって様々な証券があります。例えば、同じ発行体でも弁済順位の違いで性格が異なります。例えば、社債の中で弁済順位が高いものを「シニア」、低いものを「ジュニア」と言うことがあります。

 

 

弁済順位というのは借金返済の優先順位です。企業等の債務者が破たんした時、多くの場合、保有資産総額を上回る負債があり、その場合、負債全額を返済しきれないことになりますが、弁済順位の高い債務から優先して返済されます。一般的に弁済順位が低い債券ほど金利が高く、格付が低くなる傾向になります。

 

また普通社債に比べて弁済順位が劣後する(低い)債券を劣後債と言います。劣後債は返済期限がある「期限付劣後債」や返済期限がない「永久劣後債」があります。さらに劣後債より弁済順位が低く、普通株式より高いものを優先証券と言います。優先証券は利払い繰延条項や繰上償還条項が付いているものがあります。このように劣後債や優先証券は資本性をもっており、これらをまとめてハイブリッド証券と呼ばれることもあります。債券(負債)と株式(資本)の性質を併せ持つためです(図表2)。

 

[図表2]弁済順位の違い
[図表2]弁済順位の違い

 

ハイブリッド証券は相対的に弁済順位が低いため、同一発行体のシニア社債等と比べて高い金利が設定されていますが、発行体がデフォルト(債務不履行)した場合にはシニア社債に比べ大きな損失を被ることがあります。また多様で複雑な付帯条件(償還や利払いの延期、普通株式への強制転換等)がついていることが多く、付帯条件によって性格が大きく左右され、リスクの大きさを把握しにくいことにも注意が必要です。

 

一方で投資家の意思で株式に転換できる転換社債もあります。転換するときは、あらかじめ決められた価格(転換価格)で株式に転換します。各証券の詳細は次回以降でご説明します。

格付と金利

発行体の信用力を表すものとして格付があります。格付はスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)やムーディーズなどの第三者格付機関が発行体の財務状況等を調査し、信用度に応じてアルファベット等で表したものです。例えば、S&Pの場合は最上位の格付をAAAと表します。一般的に格付が上位の信用力の高い発行体の債券ほど金利が低くなります。

 

また一般的にBBB相当格以上の債券を投資適格債、BB相当格以下の債券をハイイールド債(投機的格付債、ジャンク債)と言います。

バンクローン

バンクローンは市場では通常レバレッジドローンと呼ばれるもので、主に銀行等の金融機関が投資適格未満の信用力の劣る企業向けに融資を行い、その債権を転売しているものです。弁済順位の高い有担保債務のものが多いですが、そもそも格付が低く相対的に信用力が低い企業に対する融資であることに注意が必要です。また変動金利のものが多く、金利リスクは限定的ですがもともと信用リスクや流動性リスクを多くとる金融商品だということを認識しておく必要があります。

 

またローン担保証券(CLO)という、このような貸付債権(ローン)を証券化したものもあります。CLOによって様々なローンをリスクに応じて切り分けることができるようにもなり、例えば異なる発行体のCCC格の担保付ローンをまとめて証券化することもできますし、その中で弁済順位の高い部分を切り出してAAAの格付を取得することもできます。CLO(ローン担保証券)やCBO(社債担保証券)を総称してCDO (債務担保証券)といいます。

 

クレジット投資では多種多様な証券があり、どのような仕組みなのか、魅力的な利回りの背景にはどのようなリスクをとっているのかを十分に理解し投資することが重要です。

 

 

データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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