回復基調にある日本株式市場
小型株の上昇率がTOPIXを上回る
■日本の株式市場は、昨年12月25日の底値から回復しつつあります。3月26日までの上昇率を見ると、小型株(TOPIX Small※)が+16.9%と、東証株価指数(TOPIX)の同+14.3%、大型株と中型株で構成されるTOPIX500の同+14.0%を上回っています。
※ TOPIX Small:TOPIX算出の対象銘柄から大型株と中型株で構成されるTOPIX500の構成銘柄を差し引いた銘柄で計算された指数。
TOPIX500とTOPIX Small
小型株の予想利益が上向く
内需の底堅さが背景
■株価の回復は、米国の金融政策の変更など主に外部要因によるものでした。こうした中、小型株の1株当たり予想利益が大型・中型株よりも先に緩やかながら上昇に転じ始めた点が注目されます。これは、大型・中型株に比べて、小型株が外需のウエイトが低く、内需が底堅く推移しているためと考えられます。
中長期的な視点が重要に
■指数別に業種分布を見ると、小型株はTOPIXや大型・中型株に比べて「情報技術」のウエイトが相対的に高い点が特徴です。「情報技術」は、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、フィンテック、自動運転などの技術分野が含まれています。これらの分野は日本企業が発展するための中核技術であり、中長期的に成長が期待される重要分野です。こうした分野に強みを発揮する企業が小型株にも存在します。例えば、コムチュアは、高度な技術を用いて大手企業のIT化を支援しており、また、JBCCホールディングスは大手IT企業の下請けを返上して、自ら高付加価値サービスを提供することで利益率を大きく改善させています。
■4月下旬からの決算発表期では、18年度や19年度の業績に注目が集まると思われますが、中長期的な視点に立つことも重要と考えられます。
指数別にみた業種分布(時価総額ウエイト)
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2019年3月28日)
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