豪ドルはボックス圏で推移
年明け以降77円台~79円台
■豪ドルの対円相場は、今年に入り概ね1豪ドル=77円台~79円台のボックス圏で推移しており、直近では78円台となっています。
■米中貿易協議の進展が期待される中、米国が利上げの打ち止めなど金融政策のハト派的な姿勢への転換が見られたことから、世界的な景気減速懸念が和らいだほか、ブラジル大手鉱山企業が鉄鉱石の減産を表明したことで鉄鉱石価格が急騰したことなどが豪ドル相場を下支えしました。
豪ドル円レートと豪日金利差
金融政策スタンスは中立へ
実質GDP成長率等の見通し引き下げ
■一方、豪州準備銀行(RBA)の金融政策にはスタンス変更があり、豪ドルの上値を抑える材料となっています。RBAは政策金利を据え置いていますが、ロウRBA総裁は講演で、これまでの利上げを見込む姿勢から、中立的な姿勢への移行を明確に示しました。
■また、2月8日に公表されたRBAの四半期金融政策報告では、実質GDP成長率や消費者物価指数の見通しが引き下げられました。これにより、利上げ期待が後退し、豪ドルの下落要因となりました。
RBAの経済、インフレ予測
豪ドル相場は底堅い見込み、米中貿易協議の進展に注目
■RBAの四半期金融政策報告で経済見通しが引き下げられましたが、これは主に米中貿易摩擦激化の影響等から中国等で景気減速が見られるためです。ただし、米中の貿易協議は3月1日の期限を前に進展が期待されており、貿易摩擦が和らぎ資源需要などが高まれば、豪ドル相場には追い風と考えられます。また、豪州の1月の雇用統計では雇用者数は市場予想を上回って増加するなど、国内経済は比較的堅調です。足元では、中国当局が一部の港で豪州産石炭の輸入を禁止したと伝わり、豪ドルが弱含む要因となっていますが、堅調な国内経済と米中協議の進展等により、豪ドルは底堅く推移すると見込まれます。
(2019年2月22日)
関連マーケットレポート
2019年2月22日 『FOMC議事要旨』、利上げは打ち止めへ
2019年2月06日 豪州の金融政策は引き続き現状維持(2019年2月)