年内で利上げ打ち止め、バランスシート縮小停止か

FRBは金融引き締めの終了を示唆(2019年1月)/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
年内で利上げ打ち止め、バランスシート縮小停止か

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

政策金利は据え置き

全会一致の決定

 

■米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、1月29日、30日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標レンジを2.25%~2.50%で据え置くことを決定しました。

 

政策金利と物価上昇率の推移

(注1)FFレート、10年国債利回りは2007年1月5日~2019年1月30日。2008年12月以降のFFレートは誘導レンジの上限を表示。 (注2)物価上昇率はPCE(個人消費支出)コア物価指数の前年同月比で、2007年1月~2018年11月。 (出所)Datastream、Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)FFレート、10年国債利回りは2007年1月5日~2019年1月30日。2008年12月以降のFFレートは誘導レンジの上限を表示。
(注2)物価上昇率はPCE(個人消費支出)コア物価指数の前年同月比で、2007年1月~2018年11月。
(出所)Datastream、Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

経済への評価も前回と同じ

景気と雇用は堅調、物価は安定

 

■国内経済の評価は、ほぼ前回と同じで、「景気と雇用は堅調な速度で拡大」、「物価上昇率は+2%近傍にとどまり、長期のインフレ期待にほぼ変化なし」でした。

 

 

ハト派へスタンスを転換

 

■今回のFOMCのポイントは、金融政策に対するスタンスの大きな変更です。

 

■先ず、利上げについては、前回までの「幾分かの、さらなる漸進的な利上げが妥当」との文言に替わり、「抑制されたインフレ圧力等を踏まえると、今後の利上げを判断するうえで、委員会は辛抱強くなれる」という文言が挿入されました。会合後の会見でパウエルFRB議長が「インフレ加速のリスクは消滅」と述べたことを考え合わせると、利上げは終了と考えることができます。

 

■FRBのバランスシート(BS)縮小プログラムについては、パウエル議長が「プログラム終了の時期が早くなり、終了後のBSの規模も事前の想定より大きくなる見通し」と語っています。おそらく19年内にもBS縮小プログラムは終了すると考えられます。

 

■このようにFRBはスタンスを大きくハト派に転換しましたが、それを受けて30日の米国市場は大きめに反応しました。株価や債券価格は好感して上昇(債券利回りは低下)、外為市場では米ドルが日本円、ユーロといった主要通貨に対して下落しました。

 

FOMC参加者の経済見通し

(注1)開催月は、FOMCで経済見通しを公表した月。 (注2)FOMCメンバーによる予測の中央値。GDPと物価上昇率は10-12月期の前年同期比。物価上昇率は個人消費支出(PCE)コア物価指数。失業率は各年10-12月期の平均値。FFレートは各年末時点における誘導レンジの中央値。 (出所)FRBの資料を基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)開催月は、FOMCで経済見通しを公表した月。
(注2)FOMCメンバーによる予測の中央値。GDPと物価上昇率は10-12月期の前年同期比。物価上昇率は個人消費支出(PCE)コア物価指数。失業率は各年10-12月期の平均値。FFレートは各年末時点における誘導レンジの中央値。
(出所)FRBの資料を基に三井住友アセットマネジメント作成

 

(2019年1月31日)

 

 

関連マーケットレポート

2019年1月29日 楽観的な見通しの低下が報告された米『ベージュブック』
2018年1月11日 米国FOMCの『ドットチャート』は政策金利予想を下方修正

 

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