なぜ「相続税還付の手続き」は税務調査後がベストなのか?

家族が集まる年末年始に改めて考えたい相続の問題。ここでは、相続税還付の請求をするなら税務調査後が最もおすすめである理由を解説します。※本記事は佐藤和基税理士事務所の佐藤和基税理士の書き下ろしによるものです。

相続を受けた「5人に1人」は税務調査が入る

相続税の税務調査がどのくらいの確率で入るかご存知でしょうか?

 

国税庁の発表によると平成28事務年度における相続税の実施調査は、平成26年に発生した相続を中心に12,116件となっています。

 

平成26年に発生した相続税の申告件数は56,239件ですので、21.54%の確率で税務調査が入っています。なお、実施調査のうち申告漏れ等の非違があった件数(追徴課税となった件数)は9,930件で、非違割合は82%になります。

 

つまり10件中2件くらいの確率で税務調査が入り、このうち8割くらいは追徴課税となっています。

税務調査の目的は追徴課税

税務調査の目的は、建前としては課税の公平というものがあります。しかし、現実的には件数のノルマや目標金額もあるのか、実際の税務調査では増額要素(追徴課税)の有無について調査が行われます。

 

具体的には、現金預貯金や有価証券等の金融資産の申告漏れがないか、その他の財産についても申告漏れがないか調査されます。

 

例えば亡くなる直前に預貯金から多額の出金がある場合には、手許現金の妥当性を指摘されたり、子や孫の名義になっている預貯金についても原資が被相続人(亡くなった人)の場合には、名義預金と指摘されます。

 

他にも多額のお金が動いている場合には生前贈与をしていないか、何か他の財産を購入していないか、配当金の入金がある場合には有価証券の申告漏れがないか、生命保険料の支払いがある場合には、生命保険金等の申告漏れがないかなど、相続財産の計上漏れがないか細かく追及されます。

 

かなり事細かく追及されるため、嫌な思いをされる方も大勢いらっしゃいます。

 

税務調査での指摘事項からもわかる通り、税務署は適正な税額を計算するためではなく、追徴課税を狙っているというのがわかります。そのため、追徴課税を取れる可能性の高い預貯金はとことん調べて追及してくるのです。

 

逆に税金が下がってしまう可能性のある土地の評価などは、わざわざ労力をかけて現地調査や役所調査をしてきません。

 

もちろん、土地の評価額を大きく減額している場合には、その減額要素が適正かどうかを確認することはありますが、何も減額していない場合は特に税務署は調べません。

 

税務調査では増額要素を指摘され追徴課税となるケースが多いですが、逆に減額要素を税務署から指摘してくることはほとんどありません。むしろ、税務署は減額要素については積極的に調べないので、税務署も減額要素があることに気付いていないケースが大半だと思います。

税務調査後は追徴課税のリスクがほぼゼロに

上記の通り、税務調査では増額要素がないか厳しく追及されるため、嫌な思いをされた方が多いでしょう。逆にいうと増額要素についてはほとんど指摘されたということになります。

 

つまりこれ以上、何か追徴課税を受けることはほとんどないのです。

 

税務調査が入っていない方の場合、相続税の還付請求をすることで、税務調査が入り藪蛇になってしまうリスクがないか検討しながら慎重に判断をする必要がありますが、既に税務調査が入った方については、その点を考慮する必要がなくなりますので、還付請求がしやすくなります。

 

税務調査が入っていないケースでは、還付の見込み金額が100万円、200万円でもリスクとの兼ね合いで保留にすることもありますが、税務調査が入った方であれば、100万円未満の見込み金額でも気軽に還付請求をすることができるようになります。

 

税務調査が入ったからもう還付請求はできないということはありません。

 

むしろ、税務調査が入ったからこそ、還付請求をするチャンスとなります。

 

税務調査で嫌な思いをされた方こそ、相続税が還付される可能性が高くなりますので、チャレンジしてみることをおすすめします。

税務調査後の還付請求で100万円を取り戻した事例

実際に扱った事例をご紹介します。

 

ご依頼頂いた方は、3億円以上の相続税を納税していました。相続財産の規模では10億円以上でした。

 

しかし、相続財産の大半が金融資産であったこともあり、還付の見込み金額は100万円ほどとなる計算でした。

 

当初の納税額が数百万円くらいの方であれば、100万円でも還付請求をする価値があると思いますが、3億円以上納税している方で100万円の還付請求では逆にリスクのほうが高くなってきます。

 

ご依頼をいただいた段階ではまだ税務調査も入っていませんでしたので、リスクとの兼ね合いで保留することにしました。

 

数ヵ月後に税務調査が入ったと相続人からご連絡をいただきました。当初申告をした税理士の立会いのもと税務調査が行われ、生前贈与のことなどを細かく追及されて、とても嫌な思いをされたようです。

 

結果的には2,000万円以上の追徴課税を受けていました。

 

これで決着ということでもよかったのかもしれませんが、相続人としてはとても嫌な思いをしたこともあり、一矢報いることができるのであれば金額に関係なく還付請求をしたいとの要望でしたので、約100万円の還付請求をしました。

 

減額要素は土地の評価で裏側に墓地がありましたので、利用価値が著しく低下しているとの主張で評価を下げました。

 

墓地隣地での減額は財産評価基本通達に基づくものではないため、認められるか否かは請求をしてみないとわかりませんが、今回の事例ではスムーズに認められ、還付請求をしてから約3ヵ月後に無事に還付されました。

 

 

佐藤 和基
佐藤和基税理士事務所 税理士

 

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佐藤和基税理士事務所 代表 一般社団法人 相続財産再鑑定協会 代表理事

昭和59年生まれ。平成19年1月に相続税専門最大手の税理士法人レガシィに入社し、主に相続税を専門に扱う業務に携わる。平成22年に相続税以外の一般的な税務を学ぶため、税理士法人ワイズコンサルティングに転職。平成26年1月に独立開業した。以降、最も得意とする相続税の専門家として特に「相続税還付」に力を入れている。相続税還付のポイントとなる土地の評価では500件以上の評価実績がある。「相続税還付」は週に1件ほどのペースで依頼を受けているが、「相続税還付」をさらに世の中に広めていくため、平成27年1月に、一般社団法人相続財産再鑑定協会を設立した。
■佐藤和基税理士事務所⇒https://souzoku-satou.com/

著者紹介

連載家族が集まる年末年始だから本気で考えたい!「相続」特集 ~税理士・佐藤和基氏

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