業績悪化で資金ショート…銀行に「リスケ」をお願いをする方法

これ以上どんな努力をしても借入金が返済できない。企業の衰退期には、そのような事態に陥ることもあるでしょう。あと数ヶ月の猶予があれば、経営を建て直せるのに…。本記事では、銀行の融資担当者にリスケをお願いする方法を、株式会社アックスコンサルティング代表取締役・広瀬元義氏の著書『9割の社長が勘違いしている資金調達の話』(あさ出版)から一部を抜粋し、見ていきます。

資金ショートが発生したら、素直に融資担当者に伝える

(会社の)衰退期は需要が落ち込み、売上が下降する時期です。赤字事業の撤退や売却、事業の抜本的な改革を図るなど、再生に向けた努力が必要になります。

 

売上が少なく、資金繰りに苦しんでいるという点では、導入期と同じです。しかし、衰退期では、導入期になかった豊かな経験と人材、金融機関や取引先との関係性、資産などを持っています。それらを生かすことで、状況を変えられるのに、衰退期の経営者がそれを実践できないのは、なぜでしょうか?

 

それは、過去の成功体験に捕らわれているからです。

 

創業してから長い間、資金繰りが苦しくてもリストラやコストカットを実行することで、なんとか立て直してきたのでしょう。

 

しかし、それは成長期や成熟期の話。衰退期に入ったら、同じ方法で会社を回復させることは難しくなります。

 

であれば、銀行に「返済を待ってください」と、お願いするしかありません。衰退期はいままでやらなかったことを行い、資金繰りを立て直すほかないのです。たとえば、

 

「今月25日に支払わなければならない返済金が、どう頑張っても捻出できない」

 

このような事態に陥ったとき、あなたはどうしますか。

 

すでにできる限りのコストカットをし、資産も売却して、整備投資を見合わせ、助成金や補助金も可能な範囲で申請しているとします。

 

それでも足りない。

 

つまり、資金ショートが起きてしまった状態です。

 

まず、やらなければならないことは、融資担当者に連絡をして、

 

「申し訳ございません、業績が悪化し、今月から返済ができなくなってしまいました」

 

と、素直に伝えることです。

 

これ以上どのような努力をしても借入金が返済できない、という状態ですから、ごまかしようがありません。「借りたお金が返せません」と伝えるのは、非常に辛いことでしょう。

 

しかし、銀行に何も言わず、支払遅延する会社はたくさんあります。返せないという、結果が変わらないのであれば、あえて自分から連絡をして伝えたほうが、印象は良くなります。

 

一時的に返済できなくなったとしても、その銀行との縁が切れるわけではありません。無理をお願いするのであれば、少しでもプラスの印象を残したほうがいいでしょう。

 

さて、返済ができないことを知った担当者は、おそらくこう言います。

 

「それでは、来月までに経営改善計画書を持ってきてください」

 

勇気を振り絞って伝えたわりには、拍子抜けするかもしれませんが、銀行にとって融資先が資金ショートを起こして返済できなくなることなど、とくに珍しくありません。

 

ここで経営者が作成する経営改善計画書とは、

 

「借入金の返済を続けると、資金がショートして会社が潰れてしまいます。しかし、返済を待ってくれたら、○カ月後には経営状態がこれくらい回復します」

 

ということを説明する資料です。

 

銀行としても、融資先が潰れてしまったら、その後の返済がゼロになってしまうので、融資先の倒産は望んでいません。

 

たとえば、毎月の返済額が100万円あったとして、今月末の予想残高がマイナス50万円だったとします。

 

もし銀行側が借入金の支払いを待って、その会社の今月末の残高がプラスになるのであれば、支払いを遅らせてくれるでしょう。

 

その後の資金繰りに余裕が出るからです。

 

このように、銀行に対して借入金の支払い計画を一度凍結してもらうことを「リスケジュール(リスケ)」と呼んでいます。

 

リスケを申し込んだ場合、それまでの返済実績によりますが、大抵は支払いを猶予してくれるはずです。その代わり、

 

「何カ月返済を待てば、経営状態が回復して、返済を再開できるのか?」

 

という具体的な数字が求められます。

「リスケ」は会社が生まれ変わるためのチャンス⁉

銀行側があっさりリスケを認めてくれたからといって、気を緩めてはいけません。返済を猶予してもらえば、資金繰りが改善するのは当然です。しかし、問題の根元を解決できなければ、返済が再開したとき、また同じ道を辿ることになります。

 

リスケは、単なる延命措置ではありません。

 

会社が新たに生まれ変わるための、キッカケなのです。

 

経営者は自社の事業について、新たに一から構築していかなければなりません。しかし、考え抜いても状況を変えられず、リスケを申し込むことになったのであれば、経営改善計画をつくるとき、専門家に相談することをオススメします。実際、多くの会計事務所では、経営改善計画のサポートを行っています。

 

経営者が考えていた方向とはまったく別の視点から課題を見つめ、解決策を提示し、それを実現するための計画書を作成してくれるはずです。

 

お金が必要なのに、これ以上は銀行から借りられない。そんなときに思い浮かぶのは、ノンバンクの貸金業でしょう。

 

個人に対する融資は「消費者金融」、事業者に対する融資は「事業者金融」と呼ばれています。

 

ほとんど審査なしに、早ければ翌日に貸してくれるでしょう。よくあるパターンは次のようなものです。

 

「銀行への返済ができなくなってしまったから、消費者金融と契約をして、銀行への返済金を借りる」

 

たしかに選択肢のひとつではありますが、私はあまりオススメをしていません。なぜなら、金利が高く設定されているからです。たとえ5万円でも、いわゆる「トイチ(10日で1割の金利)」で貸し付けてくるノンバンクがあります。返済日が迫ってくると別の事業者金融の営業スタッフが接触してきて、新たな借金を勧めてきます。

 

経営者として不要な借入をすべきではないとわかっていても、独特の雰囲気と押しの強さに負けて契約書にサインをしてしまう可能性もあります。

 

また、ヤミ金融に手を出したことがわかれば、銀行はその企業にマイナス評価をつけ、取引を停止させることがあります。「バレないようにこっそりと・・・」と思っていても、どこからか情報は漏れるものです。

 

資金繰りが苦しくなったときは、まず融資元の金融機関に相談をしましょう。

 

 

広瀬 元義

株式会社アックスコンサルティング 代表取締役

 

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株式会社アックスコンサルティング 代表取締役

1988年、会計事務所とその関与先の成功を支援するコンサルティング専門会社として創業。会計事務所の経営支援、一般企業の経営支援、資産家の不動産コンサルティングを中心に業務を展開。
2010年、相続・贈与に取り組む専門家のネットワーク「アックス資産税パートナーズ®」を発足、「相続・贈与相談センター®」としてサービスを展開。
2011年、スモールビジネスの成功を支援する会計事務所の全国フランチャイズ「Q-TAX®」を発足。
会計事務所および経営者向けセミナーの講演は年間50 回以上。これまで出版した著書は45冊以上、累計発行部数は48万部を超える。

著者紹介

連載「4つのステージ」を攻略!企業を成功に導く最強の資金調達術

9割の社長が勘違いしている 資金調達の話

9割の社長が勘違いしている 資金調達の話

広瀬 元義

あさ出版

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