実践的基礎知識 為替編(2)<対米ドルレートを見る>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

対米ドルレートを見る

各通貨の価値・価格は交換できる米ドルの量で表示されます。各通貨の価値が上がっているか下がっているかを見るには、対米ドルレートの推移を見る必要があります。通貨の動きを見る時は、通貨自体の価値が上がったか下がったか(対米ドルレート)、円が対米ドルで下落して評価額が上がったか下がったかを確認することが重要です。

対米ドルレートの確認

前回の当レポート為替編(1)では、金や原油など国際的に取引されているモノの価値・価格は、交換できる米ドルの量で表示され、一定量の金や原油との交換で得られる米ドルの量が増えることを、金や原油の「価値・価格が上がった」と表現することをご説明しました。同様のことが通貨にも言うことができ、各通貨の価値・価格は交換できる米ドルの量で表示されます。各通貨の価値が上がっているか下がっているかを見るには、対米ドルレートの推移を見る必要があります。

 

例えば、各国の通貨政策は当然ながらその国の(自国)通貨の対円レートではなく、対米ドルレートや主な貿易相手国通貨とのレートを見て決められています。対円レートが上昇しているからと言って通貨高対策をしている訳ではありません。

 

2015年5月に利下げをした豪中銀の声明を見ると「豪ドル相場は、この1年で米ドルに対して顕著に下落したが、通貨バスケットに対しては対米ドルほどではない。特に主要コモディティ価格が大幅に下落している状況を踏まえると、豪ドルがさらに下落する可能性があるとともに、その必要性もあるとみられる。」とあります。日本では豪ドルの対円レートを考えがちですが、外国の金融政策を見る上ではまず対米ドルレートを確認することが重要となります。

 

実際に為替レートの推移を確認してみましょう(図表1)。青枠と緑枠で囲んだ期間の豪ドルの対円レートを見ると、豪ドルが上昇あるいは横ばいになっているように見えますが、同期間の対米ドルレートを見ると豪ドル自体の価値は横ばいあるいは下落していることが分かります。

 

[図表1]豪ドルの対円、対米ドルレートの推移(期間:2012年1月~2015年2月)

ではその期間の豪ドルの対円レートはどうして上昇もしくは横ばいで推移していたのでしょうか。同期間の米ドル円レートを見てみると米ドル高円安が進んでいることが分かります(図表2)。

 

[図表2]米ドル対円レートの推移(期間:2012年1月~2015年2月)

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

つまり、この期間に豪ドルの対円レートが上昇した理由は豪ドルの価値が上昇したのではなく、円の価値が下落したためだと分かります。円の価値が下落したのですから日本円で表示する豪ドルの価値(豪ドルの対円レート)だけでなく、金の価値やハワイのチョコの値段も上がっていることになります。

円安ドル高の進行と各資産の円建て評価額の変化

海外の株式や債券などに投資して上昇した場合、そのもの自体の価値が上がって上昇したのか、為替が円安になって上昇したのかを確認することが重要ですが、原油などの商品価格や豪ドルなどの通貨も同じです。通貨の動きを見る際も対米ドルレートが上昇したのか、ドル円レートが円安になって対円レートが上がったのかを考える必要があります。

 

 

例えば、カナダドルの動きを見てみましょう(図表3)。2014年7月15日のカナダドルの対円レートは94.5円、2015年8月5日の対円レートは94.5円で、対円レートで見るとカナダドルは変化がないように見えます。しかしながらこの間、カナダドルの対米ドルレートは0.93米ドルから0.76米ドルへ-18.3%も下落しておりカナダドルの価値は大きく下落しています。対円で見ると変化が大きくないように感じられるのは同じ期間米ドル円の為替レートが22.4%米ドル高円安に進んだからだと分かります。このように通貨の動きを見る時は、通貨自体の価値が上がったか下がったか(対米ドルレート)、円が対米ドルで下落して評価額が上がったか下がったかを確認することが重要です。

 

[図表3]円建ての通貨の価値・価格の上昇要因

※原油:WTI原油価格、金:金スポット価格 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※原油:WTI原油価格、金:金スポット価格 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識 為替編(2)<対米ドルレートを見る> 』を参照)。

 

(2016年8月25日)

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は2.11兆円となっています(2018年6月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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連載PICTET・投資初心者のための実践的基礎講座

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