価格は堅調に推移
イラン減産への懸念が台頭
■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、 8月15日の1バレル当たり65.0ドルを当面のボトムに反発に転じ、10月3日の同76.4ドルまで上昇しました。その後は70ドル台前半でもみ合う動きとなっています。
■原油価格が足元で堅調なのは、米国の経済制裁の影響でイラン原油の減産懸念が強まったこと等によるものです。
原油価格と北米のリグ稼働基数
良好な需給バランス
需要が拡大
■「石油輸出国機構(OPEC)月報」10月号によれば、18年1~9月期の原油需要は世界全体で日量9,835万バレルでした。これに対し、供給量はOPEC諸国等による減産の寄与で同9,821万バレルにとどまりました。前月は需給が拮抗していましたが、今月はやや需要超過となりました。
■18年年間の需要量は同9,879万バレル、続く19年は同約1億バレルが予想されています。非OPEC産油国の増産により、OPECが大きく生産を増やさなくても、需給は満たされる見込みです。
世界の原油需給見通し
イラン減産の影響には注意が必要
■短期的には、イランの減産が原油価格を変動させる要因と考えられます。米国は原油・石油製品取引を行っている国に対して11月以降、取引を停止するよう要請しています。既にイランの生産量は減少に向かっていますが、他のOPEC諸国がこれに対応した措置(増産)をとる可能性は低いと見られています。ただし、1バレル当たり80ドルを超えてくると米シェールオイルの開発がさらに活発になる可能性があり、大幅な原油高にはなり難いと考えられます。一方、需要も堅調な推移が見込まれるため、原油価格は今後も同70ドル台程度での堅調な推移となる見通しです。
(2018年10月17日)
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