香港、オーストラリアが下落
主要国の長期金利が上昇
■18年9月のアジア・オセアニアのリート市場は、長期金利が上昇する中、現地通貨ベースで香港市場、オーストラリア市場が下落しました。
■シンガポール市場は、長期金利が上昇したものの、不動産関連セクターのうち、住宅規制による収益低下が懸念される不動産株からリートへシフトする動きが下支えし、月間では横ばいとなりました。
■香港市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを受けて、長期金利が上昇基調で推移したことから下落しました。
■オーストラリア市場は、住宅価格調整への警戒や下院総選挙に向けた不透明感などが漂うなか、長期金利の上昇が嫌気されて下落しました。
各国・地域の騰落率
円ベースは3市場とも上昇
為替要因はプラス寄与
■9月の騰落率を円ベースでみると、シンガポール市場は+2.7%、香港市場は+1.1%、オーストラリア市場は+0.9%、アジア・オセアニア全体では+1.5%と、現地通貨ベースを上回りました。
■9月は、欧米の長期金利上昇や、新興国市場の下落が一服したことを受けて円が主要通貨に対して下落したため、為替要因はプラスに寄与しました。
円ベース指数の推移
堅調な業績動向やディフェンシブ性が引き続き注目されよう
■アジア・オセアニアリート市場は、長期金利上昇による下押し圧力がかかるものの、堅調な業績動向やディフェンシブ性が注目される展開が続くと予想されます。シンガポール市場は、オフィスや商業施設、ホテルなどの市況が改善基調にあり、業績向上が期待されます。加えて、住宅関連規制を受けてリートが選好されやすい地合いであることも追い風となりそうです。香港市場は、主要銘柄によるポートフォリオ見直しなどから、堅調な推移が期待されます。オーストラリア市場は、オフィスや物流施設が好調なことから業績拡大が期待されます。一方、来年の下院総選挙を控えた住宅等の税制・政策変更には注視が必要です。
(2018年10月12日)
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