米国株式市場が大きく下落
テクノロジー株の下げが目立つ
■昨日の米国株式市場は大幅下落となりました。NYダウ等の主要株価指数は3~4%下落し、S&P500種指数の水準は、今年の7月の水準に戻っています。
■セクター別では、これまで好業績や高成長期待に支えられて株価上昇が目立っていたテクノロジー株が大きく下がりました。
米国株式市場の動向
下落要因は複合的
長期金利上昇と業績悪化懸念
■今回の下落の要因は、まずは米国長期金利の上昇があげられます。景気に対して向かい風となるだけではなく、多くの投資家が株価の評価水準を考える際に長期金利に注目しているため、その上昇は株価評価の下落を招く事があります。この場合、高い成長性が人気を集め、株価が高く評価されていた企業の株価ほど大きく下がることになります。昨日のテクノロジー株の大幅下落はこの動きと考えることが出来ます。
■次は、貿易摩擦の激化と今後の景気減速への懸念です。米国経済は積極的な財政政策に支えられて比較的高い成長を保つと見られますが、国際通貨基金(IMF)の経済見通しで示されたように、貿易摩擦の推移によっては、中国を始め世界経済が大きく減速する可能性があります。
■景気減速の懸念は業績悪化懸念につながります。これまで貿易摩擦の影響を受けた業況の悪化は、自動車セクターなど一部に限られていました。昨日は、米国の資本財セクターの企業から、7-9月期の業績発表時に、貿易摩擦による業況の鈍化についてコメントがあり、これも嫌気された模様です。
長期金利と業績の動向を見極めへ
■米国では、賃金・インフレの上昇が緩やかなペースで進むと見られるため、利上げはこれまでのペースで行われる可能性が高いと見られます。また、長期金利の上昇は限定的なものにとどまると見込まれます。
■一方、企業業績は、米国で始まった7-9月期の業績発表に注目が欠かせません。今後の業況について、貿易摩擦の影響を含めて、企業がどのように考えているかが明らかになります。昨日の株価下落は、今後の業績修正リスクを一部織り込んだと考えられますが、それで十分か、注意深い観察が必要と見られます。
(2018年10月11日)
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