中国株式市場の推移
上海総合指数とMSCIチャイナ指数
9月の中国株は月後半反発
人民元の安定や内需拡大策を好感
■9月の中国株式市場は、引き続き米中貿易摩擦を巡る不透明感が相場の重石となり、月前半は下値を切り下げる展開となりました。上海総合指数は17日に約3年10カ月ぶりの安値となる水準まで下落しました。しかし、米国の対中関税第3弾の発動が正式に発表されたことで、当面の悪材料出尽くし感から買い戻しが入りました。さらに、李克強首相が19日に人民元安を望まないと強調したことや、中国政府が内需拡大策を改めて打ち出したことを受けて、月後半は堅調な展開となり、同指数は月間で3.5%上昇しました。
英FTSEラッセルはA株採用を発表
米MSCIもA株の組入れ比率引き上げ検討
■世界の有力な株価指数算出会社は、中国本土株(A株)の主要な株価指数への組み入れを拡大する方針を相次いで打ち出しました。米MSCIは9月25日、株価指数におけるA株の組み入れ比率引き上げの検討に入ることを明らかにしました。さらに、英FTSEラッセルは26日、2019年6月からA株を株価指数に新規採用すると発表しました。これらの株価指数への組み入れ拡大を通じて、A株の需給の改善やグローバル化が進むことが期待されます。
株式市場は徐々に持ち直しへ
■米中貿易摩擦の着地点は現段階では見通しづらく、株式市場は、短期的には不安定な相場展開が続く可能性があります。ただし、中国政府は一段の人民元安を容認せず、金融財政面から景気刺激策を拡充しているため、景気の失速は回避されるとみられます。産業の高度化などプラス要因に変化はなく、株式市場は中期的には持ち直す可能性が高いと思われます。有力な株価指数へのA株の組み入れ拡大の動きが今後広がることも、相場の下支え材料として意識されそうです。
(2018年10月05日)
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