中国株式市場の推移
上海総合指数とMSCIチャイナ指数
8月の中国株は引き続き軟調
弱めの経済指標で景気の下振れ不安が高まる
■8月の中国株式市場は、米中貿易摩擦の激化が警戒され、引き続き軟調な展開となりました。更に、人民元安の進行に加えて、トルコリラが急落したことで資金流出への警戒感が高まるなか、7月の主要経済指標が軒並み市場予想を下回ったことから景気の下振れ不安が広がりました。上海総合指数は17日に2年7カ月ぶりの安値を付けました。その後は、「国家隊」と呼ばれる政府系機関による中国本土株の買い支え観測や中国政府による元安回避策などが好感され、反発地合いとなりました。ただ、月末にかけては貿易摩擦激化への警戒感から上値の重い展開となりました。
元安の阻止に動き始めた中国政府
「反循環的要素」を再導入
■中国人民銀行は8月24日、人民元の基準レート算出にあたり、「反循環的要素」を再導入したと発表しました。過去の実績では、この仕組みの導入後は元高となっています。中国政府は元安に歯止めをかける意思表示をしたと考えられます。あわせて、中国政府は7月下旬に景気支援の方針を決定しており、今後インフラ投資などが持ち直す見通しです。これも元安阻止に一役買うとみられます。
株式市場は徐々に持ち直しへ
■米利上げの継続に伴い、新興国からの資金流出圧力がかかるなか、米国が2,000億米ドル相当の対中追加関税を発動する可能性があるため、中国株式市場は目先上値の重い展開となりそうです。ただし、中国政府が景気下支えのための景気刺激策や元安回避策を打ち出していることから、景気の大きな下振れは回避される見通しです。株式市場は既に米中貿易摩擦の激化を織り込んで大きく調整している一方、産業の高度化などプラス要因に変化はなく、中期的には徐々に持ち直す可能性が高いと思われます。
(2018年09月07日)
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