ストによる減速から反発
鉱工業生産はプラス転換
■ブラジル経済は、5月下旬に発生したトラック運転手の大規模ストライキで物流網が麻痺し、急減速した後のリバウンド局面に入っています。5月の鉱工業生産は、ストライキの影響から前年同月比▲6.6%と大きく落ち込みましたが、6月は同+3.5%と回復しました。
鉱工業生産
インフレ率は目標水準に
中銀は政策金利を据え置き
■7月の消費者物価指数は前年同月比+4.5%と、2カ月連続で+4%台半ばとなりました。インフレ率は、ストライキの影響により、それ以前の低水準から上方シフトし、ブラジル中央銀行(中銀)の物価目標レンジの中心に達しました。
■中銀は、8月1日の金融政策委員会で、3会合連続で政策金利を6.50%に据え置きました。中銀は、ストライキの影響は一時的との見方を示し、インフレ見通しにはほとんど変更がありませんでした。また、前回に続き、次回の金融政策のガイダンスを示しませんでした。
政策金利と消費者物価
7-9月期以降は回復基調、大統領選挙に注目
■ブラジル経済は、トラック運転手のストライキの影響で4-6月期に減速した後、7-9月期以降は回復するものの、10月の大統領選挙を控えて政治の不透明感が重石となり、当面力強さを欠くとみられます。
■ブラジルでは、10月の大統領選挙の候補者登録が8月15日に締め切られ、汚職で有罪判決を受け収監中のルラ元大統領を含む13人が立候補を表明しました。8月20日に公表された直近の世論調査ではルラ氏が大差をつけ首位となっていますが、ルラ氏の出馬が認められる可能性は低く、2位の極右のボルソナロ氏や経済界が推すアルキミン氏などを中心に混戦模様となりそうです。いずれの候補も過半数に届かず、決選投票になる可能性が高いとみられるなか、市場は改革路線を掲げる候補が勝利できるかに注目しています。
(2018年08月23日)
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