クリニックの開業準備…なぜ「新聞を取る」のか?

連載は、中内眼科クリニック・院長の中内一揚氏の著書、『これから開業する君へ 新装版』(兵田印刷工芸 出版部)の中から一部を抜粋し、クリニック開業の1年前に始めておくべき準備事項を紹介します。

まずは新聞広告を見て社会勉強を

別に新聞記事を読めといっているわけではないのです。新聞広告を見て社会勉強するのです。新聞のチラシは、曜日によって入っている業種が違うことを知っていますか?  それを知っておかないと、とんでもない曜日に開院チラシを入れて、埋もれてしまって、見られもせずにゴミ箱行きという目に会います。

 

ちなみに金・土曜日は、住宅・車・家電関係のチラシが大量に入るので、やめたほうがいいです。他のチラシと競合したくないのであれば、もう少しチラシの数が少ない日を選びましょう。ゆっくりと新聞を読む人が多い日曜に入れるのも効果があると思いますが、お出かけの人が多いと見てもらえないかも知れません。悩みどころです。ちなみに火曜日はスーパーのチラシが多く、日曜にはスタッフ募集のアイデム・ディースターなどが入ります。

 

例えばですが、毎月1日は、切り離しチケットや、市民報などが入るので、その日はゴミ箱行きというのが少ないと思われます。

 

求人広告の内容に目をこらしてください。 他院の情報がただで盗めます。宣伝の出し方も勉強になります。時給はどのくらいで雇わないとスタッフが来ないのかということもわかります。昼間はいくら、夜はいくら、土日はいくら? ということを教えてくれます。薬剤師や検査技師などを含め、他業種の時給や月給もわかるので、一度目を通しておいてください。

 

あと最低賃金は、その地域で決められているので、必ず参照しておいてください(受付さんの場合、見習い期間の時給をそれに合わせて、通常の時給はそれよりも50~100円くらい高く設定します。看護師、検査技師、薬剤師などはそれぞれ専門職の時給があります。1500円以上が相場です) 。

 

ちなみにバイトの医師募集はここには出ていません。新病院の立ち上げのときでも、医師の募集は給与が書いていないことがほとんどです。一般職との間に隔たりがあるためだと思われます。

 

新聞記事で特徴があるとすれば、その地域の新聞の医療欄です。1週間に1度くらい、地元の病院や医院の先生が登場して、何かを教えているはずです。逆にそれだけ記事が必要なので新聞社もネタには困っていますから、ご自身の診療内容で、これが売りだと思うところがあれば取材希望の申し込みをしてみることをお勧めします。すぐには無理でも、数カ月後にでも取材の連絡が来たらしめたものです。新聞記事になれば、そのあと1年間はその内容で患者さんが来てくれますので、頑張ってください。

医院広告は打てる回数が決まっている

医院広告は、打てる回数が決まっています。一般的には、開院前の1回(内覧会案内としても良い)のみです。それ以外に何かアクションを起こすならば、3カ月くらい前に地域医師会の先生あてに、開院通知ハガキを送ることです。春に開院であれば、知り合いの先生には、年賀状として送ることもできます。他の時期ならば、時候の挨拶のハガキとして送ります。

 

開院直前の折り込み広告の内容を一から考えるには時間がありません。そういう広告を時々目にしますが、あまり用意できていない医院が多いのが現状で、医院名・院長名と開院時間くらいしか宣伝できていない医院もあります。折り込みは1回しかできないので、もう少し気を使ったほうがいいのではと思います。

 

ではどうすればいいか。開院したら院内に医院案内のパンフレットをおかないといけません。このパンフレットは、開院の2、3カ月前にはできていたほうがいいので、頑張ってそれを作ってしまって、その内容を省略して、折り込み広告にすればいいのです。

 

また、医院のパンフレットは、ホームページを省略して作ればいいのです。まずは開院の挨拶、理念、医院紹介など念入りに作りましょう。そしてそれをすてきに表現できる良いホームページ会社を選んでください。

 

次に良い印刷会社を選んでください。院内パンフレット、折り込み広告、診察券、薬袋、内覧会の時に配る記念品の院名印刷、それらを入れるロゴ入りの手提げ袋、開院挨拶のハガキ(住所録から発送も任せられる業者が良い)などは必要となってきますので、そのあたりをレイアウトから全部任せられる腕のいい会社または営業さんを探してください。通常、大病院にはDrの名刺を刷ったりしている業者が出入りしていますので、まずはその営業を捕まえて話を聞くことです。

新聞広告の影響力は「1週間程度」

新聞広告は、ひとつ裏ワザがあります。スタッフ募集は、広告とは認められないので、日曜日に入るアイデム・ディースターなどの折り込みにスタッフ募集をかけることです。大きな枠であれば、10万円程度かかりますが、小さな枠だと1エリア2万円程度ですので、負担も少ないです。しかし、医院の新規オープン前のときには、大枠で宣伝をしてください。かつ、2エリアは出しましょう。たとえ20万円かかっても、必ずスタッフを雇わないといけませんし、また地図や開業時間、診察の内容、医院の写真なども載せられるので、立派な広告としての意味も持ちます。

 

ただし、新聞広告は1日ものだと心得てください。新聞記事は半年くらいの影響力を持ちますが、新聞広告は1週間しか影響力がないと考えてください。使い捨て感覚でないと、いつまでも魚のいない釣り堀に糸を垂らしていることになります。

 

バイト募集サイトでも募集広告を入れられますが、パートの場合は応募してくる層が40~50代と中高年なので、そぐいません。また、新聞を取っているというかどうかというフィルターもかけられます。募集したい相手の目につきにくいところに宣伝を出してもお金の無駄と感じます。フリーペーパーも同じです。

 

なお、折り込み料はどの日に入れても同じで、新聞の種類ではなく、地域で値段が決まっています。1枚3円前後です。だから1万枚ならば、折り込み料は3万円。印刷代が1枚2円として、広告作成料に5万かかると、1万枚で約10万円。2~3万枚は撒きたいところです。すべての新聞に入れ込むと、10万枚以上と部数が大変なことになり、広告費も70~80万円かかります。勝負をかけて宣伝してもいいですが、1日の媒体にそこまでお金をつぎ込めるのか?  無理ならば、どの新聞にいれるかは、あなたの医院のカラーを考えて決めないといけません。

 

筆者は、チラシの少ない日経新聞にあえていれる(4万部)という冒険をしました。ハイソサエティ狙いです。はたして、吉と出たかどうかはわかりませんが、普通は地域の大手新聞が無難だと思います。

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    1971年 大阪市生まれ。幼少期は富田林市で自然に触れて過ごす。
    1990年 大阪星光学院中学高等学校卒業、神戸大学医学部入学。
    1996年 大阪大学医学部付属病院眼科入局。
    大阪労災病院、松山赤十字病院、大阪鉄道病院勤務を経て、眼科専門医取得。大阪大学医学部大学院感覚機能形成学に入学し人工網膜の研究で博士号取得。大阪警察病院にて、形成外科の勉強を始め、聖隷浜松病院眼形成眼窩外科に国内留学。その後シンガポールナショナルアイセンターに留学。
    2009年 帰国、兵庫医科大学病院眼科にて眼形成外来を開始。
    2016年4月 中内眼科クリニック開設。
    2017年4月 兵庫医科大学非常勤講師退任

    著者紹介

    連載現役医師が教えるクリニック開業ノウハウ~開業の1年前に始めておくこと

    これから開業する君へ 新装版

    これから開業する君へ 新装版

    中内 一揚

    兵田印刷工芸 出版部

    眼科診療所を継承した著者による開業解説本。診療所を事業継承する際の注意点や、継承準備の詳細が記されている。 開業を支援するコンサルタントや新規開業した医師による開業解説本は多いが、昨今増加している継承に関する解…

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