前期に比べ成長率は加速
国内需要が持ち直す
■米国の2018年4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率+4.1%となり、1-3月期の同+2.2%から急加速しました。
■米国を襲った大寒波の影響で1-3月期に低迷した個人消費が持ち直したことに加え、輸出が大幅に増加したこと等によるものです。
米国の実質GDP成長率
消費と設備投資が好調
需要に生産が追いつかず在庫は減少
■GDPの需要項目を詳細に見ると、まず個人消費は前期比年率+4.0%となり、前期の同+0.5%から急加速しました。雇用の順調な拡大に加え、トランプ政権の所得税減税の効果によるものです。
■民間設備投資は同+7.3%でした。前期の同+11.5%からは鈍化しましたが、高い伸び率を維持しました。構築物投資が好調だったためです。
■在庫投資、純輸出(=輸出-輸入)の寄与度は、それぞれ▲1.00%、+1.06%でした。在庫投資の減少は、需要増に生産が追いつかず在庫を取り崩さざるを得なかったこと、つまり需要の強さを示すものです。他方、純輸出の寄与度拡大は、輸出が同+9.3%と4年半ぶりの高い伸びとなったためです。
低インフレのもとでの景気拡大へ、緩やかな利上げが継続されよう
■景気・雇用が拡大を続けていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)は今後も利上げを継続する見通しです。ただし、インフレ期待が落ち着いていること等により、そのペースは四半期に1回程度と緩やかなものになる見通しです。
■4-6月期の米GDP統計は良好な内容でしたが、成長率が市場予想の+4.2%に僅かながら届かなかったこと等から、27日の米市場では、株価が下落、債券相場は上昇(利回りは低下)、米ドルは日本円やユーロに対して売られました。
(2018年07月30日)
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