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税理士が土地評価で失念しやすい「広大地評価」とは?

今回は、税理士が土地評価で失念しやすい「広大地評価」について詳しく説明します。※本連載では、佐藤和基税理士事務所代表、一般社団法人相続財産再鑑定協会の代表理事である佐藤和基氏の著書、『税理士の失敗事例から学ぶ 相続土地評価のポイント』(同友館)より一部を抜粋し、税理士がよく間違える「相続土地評価」のポイントを紹介します。

判断が非常に難しいため「適用しない」税理士も

●広大地評価の失念

 

その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で一定の要件を満たすものは、広大地評価で大幅な評価減ができるのですが、失念しているケースがあります。

 

その原因の1つとしては、広大地に該当するのか否かの判断が非常に難しい点が挙げられます。そのため、リスクを負いたくない税理士は、とりあえず広大地を適用しないで高めの評価で申告していることがあります。

 

税務署に否認されないためとはいえ、消極的といわざるを得ないでしょう。専門家としてそのような考え方はいかがなものかと思ってしまいますが、実際に広大地を適用すると税務署から否認されることもあります。

 

判断が難しいために税務訴訟になるケースも珍しくなく、広大地の失念も多くありますが、認められた際の税額への影響は広大地評価1件で数百万から数千万になることもあるので、チャレンジしない手はないでしょう。

 

広大地の判断が難しい場合には不動産鑑定士に意見書を書いてもらうこともありますが、基本的には「広大地評価のフローチャート」の空欄を埋めて補足意見を書いて添付します。

 

[図表]広大地評価の失念

マンションの広大地評価を左右する「最有効使用」

広大地評価のフローチャートの各要件について、説明したいと思います。

 

①大規模工場用地に該当するか

「大規模工場用地」とは、一団の工場用地の地積が5万平方メートル以上のものをいう。ただし、路線価地域においては、14─2(地区)の定めにより大工場地区として定められた地域に所在するものに限る。と定められています。そのため、大規模工場用地の判断は明確だと思います。

 

②マンション適地か、又は、既にマンション等の敷地用地として開発を終了しているか

マンション適地とは、中高層の集合住宅等の敷地用地のことをいい、下記のものをいいます。

 

・「中高層」には、原則として「地上階数3以上」のものが該当する。

・「集合住宅地等」には、分譲マンションのほか、賃貸マンション等も含まれる。

 

原則として、容積率が300%以上の地域に所在する土地は「マンション適地」に該当することになります。

 

ただし、容積率が300%以上であっても、何らかの事情により都市計画法に定めた容積率を活用できない地域の場合には、マンション適地に該当しない可能性もあります。

 

例えば、都市計画道路予定地による建築制限、道路の幅員、間口狭小による東京都建築安全条例(分譲マンション等の特殊建築物は、路地状部分のみによって接する敷地に建築してはならない。)などが考えられます。

 

また、マンションが建っている敷地の場合でも、それが「最有効使用」でない場合には、マンション適地ではないことになります。

 

つまりマンションの敷地であっても、それが「最有効使用」でなければ広大地の可能性があるのです。

 

よくあるケースだと、地主が建てていることがあります。地主の場合には、土地の仕入れを考慮する必要がありません。そのため、建築費用を回収できれば良いことから、「最有効使用」ではないけど、マンションを建てているケースがあるのです。

 

ここでいう「最有効使用」が何なのかは不動産鑑定評価基準における「最有効使用」が参考になると思います。

 

【参考】

「不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。なお、ある不動産についての現実の使用方法は、必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理な又は個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。」

 

③その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく面積が広大か

ここの判断でポイントになるのは「標準的な宅地の面積」と「著しく面積が広大」になると思います。

 

まず、何をもって「著しく面積が広大」なのかを判断する必要がありますが、目安としては各自治体が定める開発許可を要する面積基準以上であれば、可能性が高くなります。(絶対条件ではありません)

 

面積基準については、原則として下記により判断します。(詳しくは開発指導要綱で確認します。)

 

(1)市街化区域、非線引き都市計画区域(下記(2)を除く)

●市街化区域

三大都市圏・・・500㎡

それ以外の地域・・・1,000㎡

 

●非線引き都市計画区域………3,000㎡

 

(2)用途地域が定められている非線引き都市計画区域…市街化区域に準じた面積

次に「標準的な宅地の面積」との比較が必要になりますが、最も説得力のある面積は、評価時点に近い周辺の開発事例の面積になると思います。簡便的に「標準的な宅地の面積」を調べるのであれば、その地域内にある地価公示の標準地や基準地の面積をもって、「標準的な宅地の面積」としても良いと思われます。

 

ただし、公示地及び基準地として選定された年と相続時点との時期が離れている場合には、近年の戸建分譲開発の1区画の面積の方が小さいケースがあると思います。

 

この話は次回に続きます。

佐藤和基税理士事務所 代表 一般社団法人 相続財産再鑑定協会 代表理事

昭和59年生まれ。平成19年1月に相続税専門最大手の税理士法人レガシィに入社し、主に相続税を専門に扱う業務に携わる。平成22年に相続税以外の一般的な税務を学ぶため、税理士法人ワイズコンサルティングに転職。平成26年1月に独立開業した。以降、最も得意とする相続税の専門家として特に「相続税還付」に力を入れている。相続税還付のポイントとなる土地の評価では500件以上の評価実績がある。「相続税還付」は週に1件ほどのペースで依頼を受けているが、「相続税還付」をさらに世の中に広めていくため、平成27年1月に、一般社団法人相続財産再鑑定協会を設立した。

著者紹介

連載税理士がよく間違える「相続土地評価」のポイント

 

税理士の失敗事例から学ぶ 相続土地評価のポイント

税理士の失敗事例から学ぶ 相続土地評価のポイント

佐藤 和基

同友館

土地評価を見直せば、相続税は取り戻せます! 目次 第1章 こんなに多い税理士の財産評価ミス 第2章 土地の現地調査、役所調査のポイント 第3章 税理士がよく間違える財産評価のポイント 第4章 これを間違えたらアウト…

 

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