動産投資におけるアプレイザーの意味について解説します。

アプレイザーとは

アプレイザーとは、アメリカにおいて資格を有する不動産鑑定士のことです。具体的な業務内容は、土地や建物等の物件を査定し、適正な市場評価額を割り出すことであり、アメリカの不動産取引において必要不可欠な存在です。

 

アプレイザーは州ごとの免許制になっていて、その州の試験に合格した者のみがアプレイザー資格を取得することができます。その働き方は独立事業主として活動するか、もしくは不動産取引関連会社に属するかのどちらかです。

 

物件の購入や売却の際に、アプレイザーへの依頼が義務付けられているわけではありません。しかし、信頼できるアプレイザーの提案や助言が取引を成功させるための大きなポイントになり、特に土地勘や知り合いもおらず、慣れない州で不動産取引を行う場合には、非常に心強い存在といえるでしょう。

日本における不動産鑑定との違い

アプレイザーと日本の不動産鑑定の違いとして挙げられることは、「住まいの質」に対する評価への影響です。

 

日本における不動産鑑定は、「土地」に対する評価に重きを置いている傾向があります。建物の市場価値は新築の時が最も評価が高く、築年数が経過するごとに市場価値が下がっていくのが一般的です。内装のリフォームや増改築が施されており、住み心地がよい物件であっても、それが評価に反映されることは少なく、物件が建つ土地の価値や、物件の築年数が市場評価の判断基準の中心となっているのです。

 

一方アメリカにおいては、土地と建物を総合的に判断した「住まいの質」が不動産鑑定をする上で重要視されています。内装リフォームや増改築により、住む人にとって心地良い空間や設備が確保されていれば、築年数が古い物件であっても、市場評価が高くなる傾向にあります。

 

このような日本とアメリカの評価視点の違いから、アメリカにおいては物件そのものの不動産鑑定、すなわちアプレイザル(物件査定)が非常に重要なものとなっています。

アプレイザルの3つの方法

アプレザイルには、「市場価格」「再建築価格」「収益還元法的価格」という3つの要素を用いた査定方法があります。

 

1つ目の市場価格によるアプレイザルは、今、物件を売りに出した場合、いくらで売却できるかといった視点から、価格を査定する方法です。近隣にある同程度の評価の物件が、どれくらいの価格で取引されているかという点を参考にして評価額が算出されます。

 

2つ目の再建築価格を用いたアプレイザルは、読んで字の如くになりますが、物件の間取りや部材など、現在の物件と同じ物件を再現しようとした場合にかかる経費から、不動産価格を算出する方法です。

 

そして3つ目の収益還元法的価格によるアプレイザルは、現在の物件を賃貸した場合の、家賃相場から資産価値を割り出していくという評価額算出方法です。

 

3つのアプレイザルの中で最終的な評価額に大きな影響を与える査定方法は、市場価格を用いた方法です。対象の不動産物件に対して「この額なら買う」、「この額なら売れる」といった現状のニーズを反映させた市場価格の影響は絶大だからです。

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