時価純資産とのれん代が決まれば、会社の売買価格のおおよそが決定します。ここでは、どういった数字を評価対象にするべきかを説明します。

数字に表れない「強み」「マイナス」も評価対象に

時価純資産がカウントできれば、あとはのれん代をどれほどにするかを決めれば、会社の売買価格を大まかに算出することができます。

 

のれん代の算出法に、厳格な定義はありません。
 一例ですが、先にも述べたような、ビジネスモデルが優れており直近数年で安定した利益が出ているような場合は、単年度利益の3~5年分をのれん代とすることもあります。 
 
また逆に、ビジネスモデルがさほど秀逸ではない場合は、のれん代は利益の1~2年未満に留まることもあるわけです。 
 
さらに、帳簿などの数字では表せない会社の魅力や、逆に弱点などもあることを知っておく必要があります。 
例えば、「技術力」や「特許」があります。特許については、有効期限や内容についても調べておくとよいでしょう。 
 
その他では、買い手の拠点戦略によっては、営業網や営業拠点がプラスに働くことがあります。また、調剤事業や介護福祉事業のようなライセンスが強みになったりすることもあります。

「人の価値」は数値化が難しい

人の価値についても評価がありますが、これは実際、数値化が難しい項目です。例えば、デザインや意匠関連のクリエイティブ業では、会社の業務やブランディングに貢献しているスタッフが高い価値を持つことも少なくありません。 
 
そのようなスタッフがM&Aをきっかけに会社を退社し、収益面で大きな毀損が出ると予想されるような場合には、買い手がキーマンのスタッフの残留を交渉条件にするケースもあります。 
 
機械では作業できない微妙な手作業に長けたベテラン職人に、会社の利益の多くを依存しているような場合も同様です。 

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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