前回に引き続き、「海外プライベートバンキング(PB)」について説明しましょう。今回は、信頼できる海外PBの選び方、「EAM」と言われる外部資産管理会社の概要について見ていきます。

投資一任契約を結び、資産運用管理をする「EAM」

前回に引き続き、海外のプライベートバンク(PB)を利用した資産運用の方法について見ていきます。

 

資産運用においては、いかに信頼のできる「海外PB」を探すかが重要となりますが、以前は知人を介して紹介してもらい、スイスや香港などに直接出向いて、プライベートバンカーと口座開設の交渉を行うぐらいしか方法がありませんでした。

 

しかし、最近はPBの需要も高くなり、多忙なプライベートバンカーに代わって、専門の外部資産管理会社が顧客担当になっているケースが目立ちます。こうした外部資産管理会社のことを「エクスターナル・アセット・マネジメント(EAM)」と呼びますが、EAMが投資一任契約を結び、資産運用管理サービスを提供します。

 

EAMは、提携先の複数のPBのなかから、顧客に最も適したPBを紹介します。EAM自身は、商品販売のノルマがなく顧客に投資を勧めることもありません。また、PB側のコンプライアンスは厳格で、PB口座は名義口座からの資金しか受け取らないため、投資するための資金はEAMを通さず直接PBへと流れるために安心です。

PBのサポートに関する不安を解消してくれるEAM

EAMが注目されるようになったのは、リーマンショックがきっかけでした。PBに一任していた資産運用の一部が失敗に終わり、顧客サイドに立ったポートフォリオを組むPBを選別することの重要性が注目されたのです。

 

PBに預ける資金が少ない場合、プライベートバンカーがきちんとサポートしてくれるのか不安になりますが、EAMはそうした不安を解消してくれる存在として、信頼感を増しています。

 

たとえば、香港のEAMは、スイス、フランス、イギリスなどのPBの口座開設ができます(下記図表1参照)。

 

[図表1]プライベートバンキングとEAMの関係図

香港にあるPBのひとつの概要を紹介すると次のようになります。

 

●最低口座維持残高・・・香港ドルで800万ドル(約1億2600万円、2015年6月現在)

 

●期間・・・なし

 

●投資商品・・・定期預金、株式、債券、ファンド、外国為替、コモディティ(金現物、商品先物)、デリバティブ商品(オプション取引)、仕組債、プライベートエクイティ(未上場企業への投資ファンド)

 

●ポートフォリオタイプ・・・顧客のリスク許容度などに合わせて、独自のポートフォリオを組んでくれる

 

●通貨・・・制限なし、自由に選択可能

 

●保管管理手数料・・・投資商品の時価総額に対してかかる

 

●取引手数料・・・取引商品ごとにかかる

 

●ポートフォリオマネジメント費・・・総資産の1.5%/年間

 

●セットアップ費・・・1%(初年度)

 

[図表2]日本の顧客が口座開設可能なプライベートバンキング

本連載は、2015年8月4日刊行の書籍『開業医のための資産形成術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医のための資産形成術

開業医のための資産形成術

恒吉 雅顕

幻冬舎メディアコンサルティング

かつて開業医は、勤務医より圧倒的に収入が多く、リタイア後の悠々自適な生活を保障されていたことから、将来安泰な職業だと言われていました。しかし今、税制改革による富裕層への増税や、2025年問題へ向けた医療制度改正によ…

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