前回に引き続き、「プライベートカンパニー(資産保有会社)」について説明します。今回は、プライベートカンパニー設立の具体的なメリット・デメリットを見ていきます。

収入転換をスムーズに行えるプライベートカンパニー

個人の資産保有会社である「プライベートカンパニー」には、主に5つのメリットと2つのデメリットがあります。

 

メリット① 所得税の節税効果が期待できる

個人の黒字収入を法人に移動させることで、所得を分散できます。さらに、個人への課税については消費税率のアップなど、課税強化の傾向にありますが、法人税は引き下げる傾向にあり所得税の節税が可能になります。

 

メリット② 相続税対策が期待できる

個人保有の不動産は、その持ち主が亡くなれば相続の対象になりますが、法人名義であれば法人の株式の承継となり、手続きも簡単で節税効果も大きなものがあります。贈与の場合も、個人より簡単になります。

 

メリット③ 法人保険等に加入できる

法人保険には、払込保険料の全額、もしくは半分を経費として処理できるものがあります。さらに、海外で販売されている、高い運用益が期待できる生命保険商品に、法人名義で投資することが可能になります。

 

メリット④ 必要経費が増えて節税効果が期待できる

不動産の減価償却費やローンの利息など事業の目的に沿った経費は必要経費として処理が可能になります。

 

メリット⑤ ライフプランが立てやすい

収入を一括管理でき、しかもそのプライベートカンパニーから役員報酬という形で一括して受け取るために、資産管理が簡単になります。

デメリットはやはり初期費用と運営コスト

デメリット① 初期費用がかかる

法人に移す資金量によって、法人設立登記料、不動産の名義を替える際の登記費用や不動産取得税がかかります。

 

デメリット② 運営コストがかかる

公認会計士や税理士の相談が必要になるため、顧問料などのコストがかかります。

 

このようなデメリットもありますが、総合的に考えるとプライベートカンパニーを作ることはファイナンシャルゴールまでの収入転換をスムーズに行ういい方法と言えます。

本連載は、2015年8月4日刊行の書籍『開業医のための資産形成術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医のための資産形成術

開業医のための資産形成術

恒吉 雅顕

幻冬舎メディアコンサルティング

かつて開業医は、勤務医より圧倒的に収入が多く、リタイア後の悠々自適な生活を保障されていたことから、将来安泰な職業だと言われていました。しかし今、税制改革による富裕層への増税や、2025年問題へ向けた医療制度改正によ…

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