生前贈与の有効活用で税負担はかなり低減できる
生前贈与を利用する場合は、毎年110万円の非課税枠内で株式を引き渡すことができますし、やり方次第で相続税評価額の基準となる株価を低く抑えることができます。時間をかけて少しずつ後継者に委譲しておき、最後に残った株式をできるだけ低い評価にしてまとめて贈与することで、税負担をかなり低減することができます。
贈与税の資金にどうしても不安が残る場合は、相続時精算課税制度を利用することで、贈与時に発生する税負担を一時的に軽くすることもできます。
自社株贈与では受贈者の「会社での立場」に注意
自社株式を生前贈与で承継する場合は、贈与を受けた人がその後、会社でどのような「立場」になるかで評価方法が変わってきますので注意が必要です。
例えば、同族株主であるオーナー社長が長男や次男などの同族株主に贈与する場合は、「原則的評価方式」が適用されます。一方、甥や姪などの親族に贈与する場合や、従業員などの少数株主に贈与する場合は「特例的評価方式」が適用され、節税効果が期待できるケースがあります。
しかし、こうした特例的評価方式による贈与には、株式分散のリスクが伴うので、事業承継の本来の目的とは異なり、あまりおすすめできません。
このように、早くから時間をかけて計画的に承継していくことは、オーナー自身や後継者のためであり、ひいては会社の発展のためといえるのです。