中小企業の資金調達手段としての「ICO」の可能性とは?

佐藤隼人氏(SBI CapitalBase株式会社・代表取締役)に聞く

中小企業の資金調達手段としての「ICO」の可能性とは?

本連載では、SBIグループにおいて、資金調達支援プラットフォームを提供するベンチャーとして設立されたSBI CapitalBase株式会社の代表取締役で、国内外のFinTechならびにICO事情に詳しい佐藤隼人氏に、ICO市場の現状と課題、そして未来について語っていただく。第4回目のテーマは「中小企業の資金調達手段としてのICO」である。

見捨てられたプロジェクトがICOで日の目を見る!?

ICOは、特にベンチャー用の資金調達手段というわけではありません。企業の成長ステージのどの段階でも利用できます。しかし、シード期やスタートアップ期のベンチャーが利用する時に、真価を発揮する仕組みだと思われます。

 

従来、シード期、スタートアップ期のベンチャーに対しては、ベンチャーキャピタル(VC)などの限られた専門家がファイナンスのチャンスを与えていました。

 

SBI CapitalBase株式会社 代表取締役
佐藤隼人 氏
SBI CapitalBase株式会社 代表取締役
佐藤隼人 氏

しかし、当然ながら、VC内部での社内規定に合致しないプロジェクトに対しては、投資をすることができません。VCは事業の定性的な評価についてのノウハウを持っていますが、定量的なファクトによる評価とは異なり、事業のポテンシャルが必ずしも正しく評価されるとは限りません。

 

ICOは、その限界をグローバルで突破する可能性があります。シード期、スタートアップ期のベンチャーであっても、ホワイトペーパーでアイディアとビジョンを明確に提示し、プロジェクト賛同者を集めることができれば、プロジェクト成果の一部をトークンとして還元することで、トークン購入者と事業者との利害が一致するエコシステムを形成できます。

 

ICOを通じて不特定多数にトークンという価値を配分しつつ、一方ではサービスの利用者、参加者となってもらうことで、トークンホルダーを中心としたエコシステムを形成することは、VCから事業資金の投資を受けることとはかなり違った意味を持ちます。その意味を明確に表現すること、言い換えれば、トークンの価値をきちんと定義することができるのであれば、それはICOに値するプロジェクトであると言えるでしょう。

ICO活用の際は、金融技術系+αのノウハウも必要に

ここで気をつけていただきたいのは、上述のようなICOプロジェクトの分散型エコシステム的な特徴は、時として自社によるビジネスコントロールとトレードオフの関係になることがあるという点です。

 

これは、プライベートカンパニーの性格が特に強い中小企業、あるいはシード期の企業において、意思決定やハンドリング面でのコンフリクトをもたらす可能性があります。

 

ほとんどの中小企業、ベンチャーにおいては、分散型の理念を活かしながら自社のビジネスをハンドリングしていくノウハウが無いと思われます。したがって、ICOの検討に際しては、金融技術的な側面だけではなく、戦略系、業務系のノウハウも含めた、専門家のコンサルティング、アドバイスを受けることをお勧めします。

 

また、プロジェクトの建て付けとしては分散型のエコシステムの形成を目指すような作りであっても、資金の必要規模が小さい場合は、コスト面でICOは合わない可能性もあります。その場合は、プロジェクト次第ですが購入型クラウドファンディングなど別の調達方法を検討する方がいいでしょう。

 

具体的に言うと、弊社の場合であれば、ざっくり5億円程度を下限としてICOプロジェクトのお手伝いを考えています。実際には、数十億から百億円超までの規模感のプロジェクトの取扱を想定しており、調達金額とプロジェクト計画が連動していることが必要と考えます。

 

つまり、たとえば単なる設備投資や自社完結型ビジネスの立ち上げと言ったクローズドで拡張性の低い事業目的より、グローバルな展開で数千万から数億人というユーザーが見込めるプラットフォームビジネスの方が、ICOの理念との内容的な整合においても、また調達規模感においても、よりふさわしいものなのでは・・・と感じています。

 

ただ、業種業態については、特に向き・不向きがあるとは考えていません。現状で比較的多く見られているのは、FinTech系(トレーディングプラットフォーム、決済・送金系プラットフォーム等)、IoT、シェアリング系プラットフォーム、コンテンツ管理系プラットフォーム、広告・ポイント系プラットフォーム、などでしょうか。

 

参考までに、現状で弊社にご相談いただいている案件を見ると、海外企業の場合は、こうしたプラットフォームビジネスが多数派ですが、国内企業の場合は、アプリケーションレイヤーの案件が主流になっています。

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    取材・文/椎原芳貴 ※本インタビューは2018年3月20日に収録したものです。

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