不動産投資における外国税額控除の意味について解説します。

外国税額控除とは

外国税額控除とは、日本国内に居住地を置きながら外国でビジネスをしている人など、外国の所得税に相当する税金を納付する人のための制度です。

 

居住地国課税を採用している日本では、所得が生じた場所の国内外を問わず同じ所得とみなされるため、合算して所得税が課せられます。しかし、日本に居住地を置く人であっても、所得が生じた場所の税制にしたがって課税する制度である、源泉地課税を採用している国で所得を得ると日本の所得税とは別にその国に税金を納付する必要があります。

 

このように日本と外国とで二重に課税されてしまう状況を是正する目的で、所得税額から一定額を差し引くことができる制度が外国税額控除です。

 

外国税額控除の計算、申し込み方

外国税額控除は、所得税、県民税、市民税の順に3段階で控除されます。外国税額控除の限度額は、配当控除や住宅ローン控除などの税額控除を差し引いた残額と定められています。

 

所得税の外国税額控除限度額は、その年分の所得税額×(その年の国外所得総額÷その年分の所得総額)から算出されます。この計算式はその年の所得における国外所得の割合分しか控除されないことを表しています。さらに、県民税の外国税額控除限度額は所得税の外国税額控除限度額×12%、市民税の外国税額控除限度額は所得税の外国税額控除限度額×18%です。納付する外国所得税の額が控除限度額を上回った場合には、3年間の繰越が認められています。

 

この外国税額控除を受けるためには、3つの書類を揃える必要があります。1つ目は外国税額控除に関する明細書、2つ目は外国所得税を課されたことを証する書類、3つ目は外国所得税を課されたことに関する明細書です。

 

海外不動産と外国税額控除

海外不動産を取得時に日本での課税は原則ありません。海外では所有する際にその物件を賃貸にする場合には、賃貸収入に対する課税と譲渡に対する課税の検討が、保有して自己使用する場合は譲渡に対する課税が必要です。

 

不動産の賃貸収入による所得、譲渡による所得いずれも不動産所在地国の方法に則りで課税されます。一方、日本では海外不動産の賃貸で生じる所得に対して日本の税法にしたがい課税されます。保有して自己使用するだけの場合は、不動産所得の計算は必要ありません。また、減価償却費についても日本の減価償却制度に基づいて算出されます。

 

日本居住者が海外不動産を譲渡した場合もその国の税制に従い、課税を受けます。日本での課税は土地建物等の譲渡所得として、譲渡収入金額から取得費及び譲渡費用を控除して計算します。

 

このように日本居住者が不動産所在国で不動産所得に対する所得税や、不動産の譲渡所得に対して所得税にあたる税金を納付した場合には、日本での確定申告時に外国税額控除の適用が受けられます。

 

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