不動産投資におけるセールスパーソンの意味について解説します。

セールスパーソンとは

日本では、不動産の売買や賃貸などに関する手続きを専門で行う国家資格は「宅地建物取引士」の1種類しかありません。一方アメリカでは、これに相当する資格は「ブローカー(Real Estate Broker)」と「セールスパーソン(Real Estate Sales Person)」の2種類に分けられます。ブローカー資格は、弁護士や医師と並ぶほどの社会的地位があるとされている上級資格なのに対し、セールスパーソンの資格は不動産の仕事をするために必要な最低条件という位置付けになります。

 

セールスパーソン資格の取得に必要なこと

まず、セールスパーソンの資格は州ごとに適用されるものであり、他の州で不動産の仕事をするためにはその州のセールスパーソン資格が別途必要になることが日本との大きな違いです。そのため試験要綱は州によって異なり、アメリカ市民でなければいけない州もあるものの、概ね18歳以上で、学校で授業を受け、その終了試験に合格した者が試験を受けることができます。日本では独学でも試験を受けられますが、アメリカでは州内の専門学校やコミュニティカレッジで必要な科目を履修(300~1,000ドル程度必要)しなければいけません。加えて、終了試験に合格してから1年以上州の試験に合格できない場合は、再度授業を受け直す必要が出てきます。

 

一方で、日本での資格試験は年に1度だけなのに対し、アメリカでは毎週のように試験が行われており、年に何回も挑戦できるメリットがあります。州によって試験の頻度は違いますが、受験料は1回60ドル前後です。

 

取得後の流れや必要な手続き

州ごとの資格試験に合格すると、すぐに不動産の仕事を行えるわけではありません。営業活動をするには、必ずブローカーの経営する事務所(日本における不動産会社)に所属しなければならず、セールスパーソン資格の発行にも所属先のブローカーの承認が必要です。あくまで所属という形になるので、正社員ではなく契約社員相当の待遇になります。税制上の扱いは自営業者ですが、上位職であるブローカー事務所への所属は必須となり、その代わりとしてブローカーはセールスパーソンを監督する義務と責任を負います。収入に関しては基本的に固定給はなく、仲介手数料にのみ依存しています。営業に必要な諸経費やデスク代なども大半は負担することになりますが、日系不動産会社の中には日本の給料体系を採用している企業もあります。

 

セールスパーソンの資格は、日本の宅地建物取引士のように一度資格を取得すれば更新しなくても良いものではなく、2年に1度更新しなければいけません。州によっても異なりますが、この時更新費用に加えて10~20時間の講習を受けることになります。また、専業であれば取得後15年で受講が免除されますが、副業の場合15年経過後も引き続き受講義務が生じる州もあります。

 

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