売り抜けとは
売り抜けとは、保有している不動産の価格が下がる前に、タイミングを見計らって高く売ってしまうことをいいます。
これから値段が下がるであろうことを見越して価値が下がる前に他人に押し付けてしまうため「売って逃げる」つまり「売り逃げ」とも表現します。
また、他人に悟られないように密かに不動産を売り渡し、取引から離脱する、といった意味合いもあります。
一般的に売り抜けは株式取引において使われている言葉ですが、そちらのほうの意味も特に差異はありません。肝心なのは「値が上がり切った」という一番高い段階で他人に売る、ということです。
特に海外不動産投資市場では時差や国ごとに違う減価償却資産を利用した売り抜けが定番となっています。
例えばアメリカの不動産市場では、有数の大都市であるニューヨークや成熟した都市といえるカリフォルニアなど不動産価格が真っ先に値上がりしやすい場所です。そこから波及して第二戦線都市であるボストン、シカゴ、シアトルなどの値が上がっていきます。続いて人口増加が望める南部都市のアリゾナ、フロリダ、テキサスなどが追いかけるように値を上げます。このように広大な土地のあるアメリカだからこそ起きる時差を利用するのです。
例えば「ボストンの相場が上がってきそうだからそろそろニューヨークの土地を手放そう」だとか「まだまだ高騰しそうなカリフォルニアはホールドしておいて、このあと値があがりそうなテキサスの不動産を手に入れよう」といった感じでしょうか。
他にも日本とは異なる減価償却法を利用した売り抜けというのも存在します。アメリカの物件はあちこちを修繕しながら使うため、実に100年持つ住居も珍しくありません。そのため、海外不動産投資家が入手する物件も、その多くが築古物件となります。
日本では木造住宅の減価償却耐用年数は20~22年、ただし築22年以上の物件であれば4年で減価償却を行うことになります。対してアメリカは構造に関わらず賃貸用住宅は27.5年の減価償却年数です。
つまり、同じ物件であるのにも関わらず、日本の不動産投資家は4年で減価償却をすることが可能になるのです。これは所得の高い不動産投資かほど享受することができる節税メリットといえるでしょう。
これらはあくまでも一例ですが、こういった風にうまく売買をして、高く売りつけることができた時に『うまく売り抜けられた』と表現します。
ですが現実はそう甘くはなく、あくまでこのような傾向があるというだけで、現実には上手く売り抜けられるというのは稀なようです。