円キャリートレードとは
円キャリートレードは、円資金を借入れて取引を行う行為を指し、円キャリー取引とも呼ばれます。
金融市場において、世界各国より相対的に低い金利の円を調達した後、高金利の外貨に換えて運用益や利ざやを獲得することを目的とすることが多いです。
円を売って運用するため、円キャリートレードが増えてくると円安要因となり、運用益が出ている外国資産を売却して得た外貨を円に換えて返済すると、円を買い戻すため円高要因になります。外国資産とは、債権や株式、原油などの商品先物のほか、海外不動産取引も含まれます。海外不動産を使って投資を行うことで、高額所得者にとっては所得税の節税につながるメリットがあります。
欧米の建物には、築100年を経過した古い不動産物件がたくさんありますが、地震が起こらない国では、建物の内外装を含めてリフォームしながら長年にわたり利用するケースをよく見かけます。欧米では、建物が古い場合でも、不動産売買価格の4割から5割程度の価値が付くことが多いため、所得税の節税対策につながります。節税効果を最も発揮するには、購入してから6年目以降に売却を行うのが理想です。所有期間が5年以内での譲渡には、短期譲渡分の税率がかかりますが、6年以上では長期譲渡となり、低い税率で売却することが可能です。
円キャリートレードで海外不動産取引を行う際のリスク
海外不動産取引を行う際、様々なリスクがあることを考慮する必要があります。主要なリスクとして「為替」が挙げられます。
円キャリートレードによって低金利の円を借入れて外貨を獲得し、海外不動産を購入して資産価値が上昇したとしても、上昇分を打ち消す為替差損分が起こってしまうことがあります。購入先が欧米などの先進国の場合は、為替のトレンドを掴み、円高局面で取引を開始することでリスクを軽減することが可能です。
円高で不動産を購入し、円安で売却することで運用益を得るチャンスが高まります。経済成長が見込まれる新興国の場合は、通貨価値が上昇する期待があり、世界各国から見て高金利であることが多いため、運用益を得ながら金利差分の利さやを得るチャンスが広がります。
一方で、国が高金利政策を取っている場合は、国そのものの債務不履行リスクを考慮することが大切です。不動産取引慣行について、日本とは違うことを認識しておく必要があります。不動産を所有した時の権利はしっかりと書面にうたわれているかどうか、建物に瑕疵があった場合の保障体制はどのようになっているかなど、契約に関わる部分はしっかりと理解しておくことが重要です。