不動産投資におけるノンリコースの意味について解説します。

ノンリコースとは

ノンリコースとは英語で書くとnon-recourse、遡らないという意味になります。不動産取引でこのノンリコースを耳にする場合、これに「ローン」が加わったノンリコースローン、つまり「非遡及型融資」を指すのです。このローンは返済において、借り手の責任範囲を限定する融資の意味になります。責任範囲の限定とは、返済が滞った場合、資産のどこまでを返済に充てるかを決めておくということです。多くの場合、その範囲は担保として差し入れた物件になります。通常のローンとの差があらわれるのは、何らかの事情で返済不能に陥った場合の処理方法です。

 

返済の猶予期限が過ぎた場合、金融機関は担保物件を売却して返済に充てます。この時、通常のローン契約では売却額が融資額に対して不足した場合、借り手はその不足分を他の資産や収益から支払わなくてはなりません。しかし契約内容がノンリコースローンで、責任範囲が担保物件のみと定められていたとします。この場合、担保物件の売却で返済は完了し、それ以上の責任を求められることはありません。

 

ノンリコースローンのメリットとデメリット

ノンリコースローンのメリットは、そのリスクの低さです。万が一の場合にも担保を手放すだけで済み、他の資産や事業を差し押さえられるといったことがありません。借り手にとっては不動産投資を始めるにあたって、ハードルを下げてくれる契約内容だと言えます。ただし、これは融資を行う金融機関側からはリスクの高いものです。そのため審査基準は通常のローンと比べ、厳しいものとなってしまいます。また金利などの融資条件面でも不利となり、利用できるローンの種類も限られるのです。これらの点がノンリコースローンのデメリットになります。

 

ノンリコースローンの利用には「責任財産限定特約」と「制約条項」の内容に注意が必要

ノンリコースローンを利用する場合、特に注意したいのが「責任財産限定特約」と「制約条項」の二つです。

 

まず責任財産限定特約とは、責任範囲の具体的な取り決めを指します。これはノンリコースローンの肝といってもいい部分です。返済原資、つまり返済が滞った場合の補償となる資産を、該当不動産(担保として差し入れた物件)のみに限定するといったものがその一つになります。そのほか、返済原資を売却した後の不足分についての債券を放棄する、責任範囲外の資産に対し強制執行を申し立てないなどです。これらを規定として設け、責任範囲を明確にしておくことが、借り手と金融機関の双方にとって重要なポイントになります。

 

制約条項とは、融資にあたって金融機関側から求められる条件です。その内容は、契約を円満に完了させるためのものになります。例えば、一定以上の純資産額やキャッシュフローの維持、該当不動産を他の融資の担保とすることの禁止などです。細かな条項はその契約内容により異なるため、契約の際には無理なく実行できるものかどうか、よく確認することが大切になります。

 

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