最も早期に予約が埋まるのは「上級スイート客室」
数に限りがある客室、どうしたら希望通りに確保できるのだろう。じつはそこには法則がある。さっそく実例を挙げて解説しよう。
人気の客室、つまり早期に予約がいっぱいになってしまう客室とはどこか。以下、オーシャニアクルーズ(リビエラ、7泊8日の地中海航路)を例にとる。
前回紹介した客室の4つのカテゴリーは、船体の前部・後部のどこに位置しているか、また何階にあるかによってさらに細かく分かれている。6万6000トンの中型客船リビエラの場合、全部で17カテゴリーに分かれている。同カテゴリー内でも、A1〜4、B1〜4などの違いがある。
部屋の設備や広さは同じでも、乗船料金が高くなるに連れ、客室の位置が船体の中央部になったり、階層が高くなったりする。中央部分が高めとなっているのは、レストランやシアターなど、どこに行くにも移動距離が短くて便利だからであり、最も揺れが少ない位置でもある。
では実際の状況はどうなっているのか。早期に予約が埋まってしまうカテゴリーには特徴があり、これはどこの船会社でもほぼ共通している。
予約が早期に埋まっていく順番には、以下の4つの特徴がある。(以下の図表2も参照)
①上級スイート客室
客室数も少ないため、とくに法則性はなく、ラグジュアリー感を求める乗客に人気があり、早期に売れてしまう。
②スイート客室(ペントハウス)はPH3からPH1へ
高い位置からの眺望や居住性、バトラーサービスなどを求めるタイプに好まれる。
③ベランダ付き客室のB4、B3からA1
へベランダ付きにこだわるタイプに好まれる。客室に居ながらにして海風に当たれる爽快感はやはり捨てがたい。朝、ベッドから起きたその足で窓を開け、海風を受ける爽快感は筆舌に尽くしがたい。同じ海でも港によって潮の香りが違うのがわかる。最も多いのがこのカテゴリーを求める乗客層だ。
④内側客室F、Gから海側客室Cへ
「客室は寝られればそれで十分」と割り切って、昼間は展望デッキで、夜はカジノやバーでクルーズライフを満喫するタイプに、内側客室は好まれる。内側客室のG、ベランダ付き客室のB4、スイート客室のOC、VS、OSは1年以上前から予約が入る。多くの船会社が提示している「早期割引特典」のメリットが受けられるのも魅力だ。
[図表1]早期予約で受けられる特典の例
[図表2]客室のカテゴリーと料金(オーシャニアクルーズ)
居心地や提供される料理の質で、部屋を選択する方法も
客室予約は「早い者勝ち」だ。新しい航路が発表されると、世界中から予約が入り始める。いずれにしても、キャンセル料のかかる期日まではリスクはないのだから、お気に入りの客室を押さえておくに越したことはない。
「乗船料金が手頃な船会社(カジュアルクラス)のベランダ付き客室とやや高めの船会社(プレミアムクラス)の一番安い客室とが同額の場合、どちらにするのがいいのか?」
そんな質問をされることが少なくない。船旅のどの部分を重視するかにもよるのだが、私はあえて、次のような問いかけをするようにしている。
「部屋での居心地のよさと食事の内容の、どちらに比重を置きますか?」
もし、部屋での居心地を重視するなら、カジュアルクラスのベランダ付き客室がいい。開け放った窓から入港時の新鮮な海風を肌で感じることができる。移り変わるオーシャンビューを眺めながらのんびりとベランダで朝食をとることもできる。
料理に重点を置くなら、断然、プレミアムクラスをおすすめしたい。食材の質やメニューの選択肢はカジュアル客船よりも確実に上だ。客室は寝るだけと割り切って、景色を眺めるときには展望デッキを利用すればいい。
同様にプレミアムクラスのベランダ付き客室とラグジュアリークラスの安めの客室の比較でも同じことが言える。