ターゲットとしている客層は「撮影モデル」から分かる
客船には、いい客船、よくない客船というものは存在しない。あるのは、自分に合った客船かそうでないかだけだ。そして、それは「旅の目的」によって変わってくる。
今回からは客船の選び方から、実際の乗船、船上での楽しみ方、下船の方法までを、順を追って説明する。
<パンフレットから読み取る船会社選び>
「自分に合った船会社」を見つけるためには、船会社と個々の客船についての情報入手が欠かせない。それには船会社のパンフレットを参考にするのがいい。航路スケジュールや乗船料金はもちろん、船会社のパンフレットには多くの判断材料が載っている。
●パンフレットから読み取れること
①客層がわかる
パンフレットにはその船会社がターゲットとしている客層が撮影モデルとして使われている。同じカップルでも若年なのか熟年なのかを見る。ファミリー層をターゲットとしているなら必ず子どももモデルとして登場している。
②セールスポイントがわかる
いちばんの自慢は料理やレストランのバリエーションなのか、最新設備の豪華さなのか。落ち着いた雰囲気が売りなのか、はたまたにぎやかさを売りにしているのか。
食事は船旅の大きな楽しみだが、ディナー時のシーティングは、客船選びにはとても重要なポイントだ。後述するが、シーティングのシステムには、着席するテーブルとディナーの開始時2間が指定されるフィクストシーティング(指定席制)と好きな時間にとれるフリーシーティング(自由席制)とがある。
前者は他の乗客と相席になることもあり、基本的にメンバーは毎晩変わらない。後者は2名席でディナーがとれるのでハネムーナーやプライベートディナーを楽しみたい層には向いている。
乗船料金に含まれているものも要チェック
③建造年がわかる
シップデータから個々の客船の建造年や改装年がわかる。1995年以前に建造された客船は、ベランダ付き客室の割合が少ないことが多い。また、ハードが古めかしく感じられることは否めない。これは新しいからいい、古いから悪いという意味ではない。なぜなら、船旅の満足度にとって重要なのは、そこで働くスタッフのサービスの質や行き届いたメンテナンスのほうなのだから。
④乗船料金に「含まれているもの・いないもの」がわかる
船会社により、ポートチャージ(港湾施設使用料)や船上のスタッフへのチップ、燃油税などが含まれているかどうかがわかる。ポートチャージはヨーロッパの7泊8日航路で200〜300ドルほどするので、これが乗船料金に含まれているかいないかは大きい。船会社によっては乗船料金にアルコール飲料やエクスカーションまでもが含まれているものもある。
[図表]船旅の参加者別チェックポイント