今回は、事業計画書に盛り込むための「市場調査」のポイントを見ていきます。※本連載は、戦略コンサルタントとして地域活性、事業再生、販路拡大、補助金活用など幅広い分野で企業経営者に戦略指導を行う辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社専務取締役・若狹清史氏の著書『創業補助金』(東峰書房)の中から一部を抜粋し、創業時の補助金申請に必要な事業計画書の作成方法について解説します。

独自調査をしたうえでの「分析」と「PR」が不可欠

●足を動かして行う市場調査

 

企業においてマーケティングはとても重要です。事業計画書を書くことで戦略に高度な進化をさせましょう。

 

融資担当者や補助金の審査員は「その人が本当にその業界に詳しいのか」、「どの程度の熱意をもって調べているのか」という市場環境の調査状況を知りたがっているということを意識してください。

 

例えば、「出店予定場所の現地調査をしたところ、最寄駅周辺には競合店は2店舗しかなく、弊社が提供するような付加価値が高いサービスを提供するところはひとつもなかった」。きちんと現地調査をしたうえで、冷静に判断していることがわかります。

 

一方よくあるダメな例は、「日本の○○市場は年々増加傾向にあり、高齢化社会を背景に20~30年の間では約30%の伸びが期待できることから、弊社においても発展が期待できる」というマクロ経済から見た統計データをまとめたような机上の空論に終始してしまうケースがあります。図書館やWebの統計データでは独自性が無く、その業界に詳しいのか疑問に思われてしまうでしょう。

 

重要なのは、きちんと調査した上で冷静な分析がしてあり、業界経験を活かした準備をしてわかりやすくPRできているかです。

ヒアリングや現地調査など…多角的な方法を駆使

●市場調査の方法

 

ヒアリング

ターゲット客層に近い人に意見を聞く。ターゲット層に友人がいる場合は、本音をいってもらうようにする。

 

アンケート

アンケートを作成し、多くの人から回答を集めて集計する。少なくとも100人以上のデータを集計する。SNSやFacebookを使うのも手。

 

Web調査

競合他社をWebで調査する。楽天ランキング、価格ドットコム等の消費者側の属性や評価コメントが掲載されているサイトも参考にする。

 

サンプルの購入

競合他社や、ベンチマークにしている会社の製品を購入したり、資料請求をしてみたりする。

 

張り込み

同じ商圏にある競合他社の前で、張り込んで観察をし、購入者の人数、属性などを調査する。

 

現地調査

同じ商圏にある競合他社の店舗を見て回る。駅からの導線上にある競合店は何か等を調べる。

 

体当たり

商圏が異なる先輩経営者にアポイントをとり、経営状況について教えてもらう。

 

資料・データ

インターネットや図書館で基礎となるデータを調査する。ただし、これは世の中の方向性を探る役割として利用する。

 

[図表]市場環境と商品・サービスの特徴

 

本連載は、2016年9月21日刊行の書籍『創業補助金』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

受かる!補助金・助成金シリーズ 創業補助金

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若狹 清史

東峰書房

定款・印鑑・登記・各役所への届出・銀行口座の開設。初めて起業する場合、あまりの量の手続きで他のことは後回しになりがちです。 でも忘れちゃいけないのは資金について。いくらいいビジネスモデルでも、開業資金がままなら…

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