引っ越し費用がゼロなら、住まいは気軽に替えられる
昔からずっと疑問に感じてきたことがあります。引っ越しの負担が大きすぎるということです。
通常、大学進学や就職、転勤、結婚といった人生の転機に引っ越しをするのが一般的です。
仕事で昇格して収入がアップした際、あるいはいま住んでいる物件よりもいいマンションが見つかった際などに、頻繁に引っ越しをする人はまれでしょう。なぜなら、引っ越しは大きな費用と手間がかかるからです。
住まいを変えるたびに引っ越し費用と作業負担がかかりますし、新たな入居先で初期費用が数十万円かかります。おおむね30万~50万円程度の出費になるのが一般的ではないでしょうか。頻繁に引っ越しができるのは、よほど資金と時間に余裕があり、さらに根気のある人でない限り難しいといえます。
ですが、仮に引っ越しの資金的な負担がゼロになればどうでしょう。荷物の整理と移動は必要になりますが、それ以外の手間と費用負担がなくなれば、もっと手軽に引っ越しが可能になるのではないでしょうか。
0円賃貸で初期費用をゼロ円にした理由の一つには、引っ越し時の費用負担をできる限り軽減し、自由に移り住める社会を実現したい、という思いがあるからです。
住まいというのは一度契約し、住んでしまえば後戻りができません。引っ越し後に別の街のほうが良かったと思うこともあるでしょうし、いまより条件の良い物件が新たに見つかるかもしれません。そうした際に引っ越しの費用負担が少なければ、もっと気軽に住まいを変えることができると思うのです。
絶えず流動していれば「募集期間」は最小限に・・・
たとえば服の趣味が変われば、新たにお気に入りの服を買い直すはずです。それと同じように、まるで服を着替えるような感覚で住まいを変える、自分に合った住まいと環境を、自由に住み替えながら見つけていく社会の実現を目指しています。
二トントラックの無料貸し出しサービスを展開しているのもこうした理由からです。自分で荷物を運ぶ場合、二トントラックがあれば引っ越し代金も不要になります。
0円賃貸に入居すれば初期費用も無料で、退去時の引っ越し費用もゼロ。まさに入居から退去まで、家賃以外の費用負担を完全にゼロにできるのです。
こうして自由に移り住める社会になると、マーケットの流動性がさらに高まります。
本書ではテナント・リテンションの重要性について強調してきたので、一見するとその考えと矛盾するようではありますが、絶えず流動していれば募集期間を最小限に縮められるとともに、空室率をゼロに近づけることができます。平均入居期間の長い物件と比べると空室損失は確かに増えるかもしれませんが、その分、満室経営を維持することで利益を最大化することは可能です。