今回は、収益不動産の家賃価格を投資家自身が決定すべき理由を説明します。※本連載は、収益不動産経営コンサルタントの三木章裕氏と、一般社団法人全国古家再生推進協議会の理事長などを務める大熊重之氏の共著、『儲かる! 空き家・古家不動産投資入門』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋し、「空き家・古屋物件」の選び方&買い方を、事例をもとに探ります。

リターンを見極められなければ投資家失格!?

これまでの連載で、物件見学ツアーのあとで家賃設定についての問答がありました。この家賃設定は、空き家・古家再生投資のキモになる重大ポイントの1つです。

 

不動産投資なのですから、家賃収入がどれだけあるのかを最初に見極めないと一歩も進めません。投資なのにリターン(家賃収入)を見極められないなんて問題外です。しかし、ここで失敗している不動産投資家がたくさんいます。

 

空き家・古家再生投資ではあまりないですが、普通のアパート・マンション投資の場合、満室入居で満足して、退去があっても次も同じ家賃で入ると思っている投資家が結構います。

 

しかし、私は業界の裏事情がわかっていますので、もっと冷静に見たほうがいいということを先にお伝えしておきます。

 

一般に不動産投資向け物件の場合、家賃が高ければ高く売れるわけですから、売主側はより高い家賃で売りに出したいわけです。

 

そこで賃貸の客付け業者(※)に普段はあり得ないような高いリベートを払って(私の知っている売主で家賃の6カ月分を広告料として支払う条件がありました。一般的な仲介の場合1~2カ月の広告料というのが多い中、破格リベートです)、家賃も相場より2割は高かったのですが、すぐに満室になり売却しました。

 

(※)客付け業者……入居付けを行ってくれる不動産業者。

 

しかし、売主は相当に無理して満室にしています。この満室物件を次に買った方は、一般的な広告料2カ月分、2割高くなっている家賃を設定しますが、入居者は付きません。逆に部屋は空いていくばかりです。

 

それでも買った人はこのことに気づいていないのです。業者にお任せで家賃相場さえ調べることをしなかったからです。

 

家賃相場などは、今ではインターネットのサイトで簡単に調べられます。

 

たとえば HOME'S「見える!賃貸経営」(http://toushi.homes.co.jp/owner/)を使えば、あなたが購入したい物件周辺の家賃相場はもちろん、どれくらい人気エリアなのか、どの間取りが人気で空室率がどれくらいなのかなど簡単に調べることができるのです。

 

しかし、こんな初歩的なことさえ怠っている人がたくさんがいます。

「業者任せ」にしたせいで破綻したケースも・・・

2016年頃から、高額所得者、たとえば医者や外資系企業の社員の自己破産が急増しています。彼らは所得は高いので多額の融資で大きな物件を買ったのです。

 

このような方は本業も忙しく、物件を買うにもほとんど業者任せというあり様で、自分の物件の状況を十分に把握していませんでした。ですから、無理な家賃設定は短期間でたくさんの退去者を出してしまいます。

 

実際に入居者に退去されると、次の入居者がなかなか決まらないということで、空いた家賃の分の返済を自分の収入から補填するしかありません。ですが物件が大きいため、その補填額も膨大になり、ついに補いきれず破綻してしまうのです。

 

自分の物件の家賃相場もわからない人は、投資家として最初から失格です。ビジネスマンとして優秀だから、投資家として優秀であるかは別の問題です。

 

だからこそ物件見学ツアーでは、見学後にそれぞれの物件の適正家賃の検討会をします。これが本来の考え方だと思うのですが、最近は現状家賃だけ見て自分で調べない人が多すぎると思います。

 

何度かツアーを経験すると自然とそのエリアの適正家賃がわかってきます。どんな物件でもサイトだけだと立地条件や周辺環境、物件の良し悪しを見抜けません。しかし、現地でしっかり見てくるとどんどん目利きになっていくわけです。

 

前作の本では、あまり具体的なノウハウが書かれていないという感想をいただきましたが、経験もせずに本だけの知識で成功しようと思うほうが相当危険だと思います。

 

私は多くの不動産投資家の成功者を輩出してきましたのでわかりますが、変に知識があることで踏み出せなくなったり、思い違いして失敗した人を見てきたからこそ、多少厳しいことを述べているのです。

 

いくら本にたくさん知識とノウハウを書いても、それは著者の自己満足にすぎません。それは同時に、読者の皆さんの成功にはつながらないのです。

 

本当の成功ノウハウは現場にあるのです。

儲かる! 空き家・古家不動産投資入門

儲かる! 空き家・古家不動産投資入門

三木 章裕,大熊 重之

フォレスト出版

◆2018年には5~6軒に1軒が空き家に! 空き家・古家不動産投資とは、物件を安く買い、リフォームをして収益賃貸物件に再生することです。いまや空き家・古家は社会問題になっており、これからも増加の一途をたどっていきます。…

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